3.31.2010

葬式の出し方と、山手線の乗り方

■今売れてる興味深い本・・・『葬式は、要らない』(島田裕巳著/ 幻冬舎新書)のBOOKデータベースによる内容説明:

【日本人の葬儀費用は平均231万円。これはイギリスの12万円、韓国の37万円と比較して格段に高い。浪費の国アメリカでさえ44万円だ。実際、欧米の映画等で見る葬式はシンプルで、金をかけているように見えない。対して我が国といえば巨大な祭壇、生花そして高額の戒名だが、いつからかくも豪華になったのか。(中略)葬式に金をかけられない時代の画期的な1冊。】

この金額からするに、日本では、人の死もビジネスってことだな。何でもカネだ。カネを払うことと供養することは全く性質の違う行為のはずだが、悲しみに呆然としている遺族を神妙な面持ちで丸め込んで、“死肉を骨ごとむさぼり食う(小学館『大辞泉』)”ハイエナがいるんだな。大切な人の死で、大切じゃない連中を肥えさせる理由はないから、そんな葬式はやるまい。

で、先日の日曜の渋谷での葬式の映像がアップされた(YouTube / CMPNCA)。カネがなくてやむなく自殺した人も、他の理由でやむなく自殺した人も、カネにものを言わせて何でも買っちまおうとする企業も(実際のところ、この世には職業にも死にも貴賎はあるってえのに)みんな一緒に弔おうという、実に寛大で、軽やかに荘重なセレモニーだった。

自分でも参列して、なんと素晴らしい、意味のある葬式だろうと思った。おそらくこの式の費用は集合場所の借り賃なんかで、ほんの数千円であろう。みなさんも、今後のご参考まで、ぜひご覧下さい。

(是非、ワイド画面/フル・スクリーン・モードで・・・)
http://www.youtube.com/watch?v=KT5lag_uZF8 

もう1本、同じく(YouTube / CMPNCA)から、こちらはカラフルで楽しく実用的な映像を。

東京のJR山手線を、原宿→渋谷方面に(つまり内回り電車に)乗る場合、進行方向の渋谷に向かって左側の窓からの景色を眺めると綺麗ですよ、という爽やか東京案内映像。こういう風に見る桜は、さほど気にならない。
特に1分20秒~25秒あたりに注目されたし。

3.30.2010

Nike Kills...

■昨日見たボブ・ディランの日本ツアー最終公演は、きちんと音のよい場所で聴いたので、実によかった。顔をできるだけ近くでおがみたいというような欲さえかかなければ、きちんとディランらしいいいパフォーマンスを楽しめることが確認できて安心した。本編ラスト「Forever Young」、泣けたね。次回、またどこかでステイジを見る日を楽しみに待てる。

今夜のDOMMUNE〈CRASS STORY アナーコパンクの周辺とその後:出演 行川和彦×成田圭祐 Irregular Rhythm Asylum〉も2時間、酒を飲みながら家でぐだーっと見ていたけど、楽しかった。行川さんがアナルコ・パンクに対して抱いている感情、というか、〈アナーキー〉という概念に対する認識は、どうもぼくのそれとは違うようだったけれども。

明日は長きに渡る宮下公園問題の重要な日だ。

もしも、きみの家の前に感じのよい、近隣住民の憩いの場所になっている公園があるとする。きみの住む市区町村の自治体は金が欲しくて(だけど、なんでそんなに金が要るんだ?)、他方、その公園を“買い”たい企業があり、その両者の思惑が合致して、その公園がいきなり当事者同士の密約によってその企業の商業スペースに変わるとしたらどうだろう?

カネがあるやつは公共の公園だって好きに買えるという暴力的なモデル・ケース(前例)になる。

自分のカネのある・なし、ナイキ製品の好き・嫌いの問題ではない。そういう世の中でいいのか、という問題だ。
以下、その抗議緊急デモ詳細。
アロンジ・アロンゾ!


暴走する「宮下ナイキパーク」計画をSTOPさせよう!
工事着工なんてさせないよ!
3/31緊急デモ
41日から工事を始める」と渋谷区公園課は表明しました。
民主主義的手続きを踏まず、「改修」という大ウソ。
渋谷区とナイキジャパンの行いは、公園の「破壊」、民主主義の「破壊」です。
みんなの力でストップさせましょう。
そして、こんな計画は完全にRESETさせよう!

331日、緊急デモを行います。
午後6時、渋谷勤労福祉会館に集合、630分出発です。
NIKEショップ、渋谷区役所、渋谷繁華街をデモして
宮下公園前がゴールです。

いままでのMIKEデモと同様、手作りサウンドデモです。
賑やかなデモにしましょう。

みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会
080-3127-0639

3.27.2010

ボブ・ディラン、宮下公園の暴力について歌う!

■この一週間も、ブログに書きたいことがいろいろあったのだが、どうも書く気がしない。〈はなうつ〉・・・進行中。しかし、ファックな渋谷区とファックなナイキによる宮下公園バビロン化計画も進行中。怒りがあれば何でもできる、とはいわないが、デモで歩くことくらいはできる、と思う。

先週、〈はなうつ〉なりに、火曜にお台場とかいう気持ち悪い場所で、ボブ・ディラン来日公演は見た。過去最高の至近距離で(今度の月曜も見る)。木曜にはジェロニモレーベル(ソロ)を見た。愛しき街、下北沢のNever Never Landで。元気がないときは、特に、いいものを見ないといかん。

明日は葬式に出ようと思う。・・・朝、起きてみないと分からんが、怒りと弔いの感情は前向きな元気を凌駕する、はずだ。水曜も。
アロンジ・アロンゾ。

ワオー! このディランは最高だ。お台場で見たやつより。



3.20.2010

はなうつ

■この一週間も、ブログに書きたいことがいろいろあったのだが、どうも書く気がしない。の前に、いろんなことにやる気が出ない。また、毎年のアレだ。この国では《花》といえば《桜》のことらしいので、だから、オレは《花鬱》と呼んでいる。

桜の開花宣言だのなんだのという話を新聞やテレヴィで目に耳にし始める頃から、毎年、胸のあたりに“もや”がかかり始め、その裏側の、肩から背中の上半分に常にザワザワとした軽い悪寒が貼り付き、口のまわりに軽い痺れの輪っかがカパッとはまって、その影響で鼻も目も頬骨のあたりも広範囲にわたってダルくなる。ほぼ一日中。

要するに、オレは桜の花がかなり嫌いらしいのだ。正確に言うと、好き嫌いの前に、生理的に拒絶反応が出るので、当然、さくらの現物を見るのも、その花のついた木の下を通るのも、それどころか、その話を聞くのもダメだし、それ讃美の森山なにがしとかコブクロとかの暴力的に胸を圧迫してくる殺人的な歌を耳にするのも極めて危険だ。さいわい視力がよくないので、遠目にピンクの“わた”みたいなぼんやりした塊を見る分にはさほど不快感はないが、花や花びらの形を目を通して知覚するのはもちろん堪え難い。路上に散った奴らを目にしただけでも、歩きながら呼吸することを忘れてしまってしばしば倒れそうになる。

昔から、“花より団子”などという“花”の風情を解さない日本人を揶揄する表現があるが、そういうのを耳にするだけでもかなり深刻なストレスを覚える。オレは日本人じゃなくて全然結構だ、と思う(・・・正確に言うと、どこの“国”の人にもなりたくないんだが、今のところ、税金払ってるんだから、菊紋のついたパスポートだけは持たしてくれ)が、というのも、オレは“花より団子”という常套表現の意味の“肝”の、それ以下の人間らしいからなのだ・・・“花”を見たら、団子すら食う食欲をなくすのだから。つーか、それが咲く前に、開花予想なんつう言葉を聞いただけで、食欲が自然になくなってきて、普通にしているつもりなのに、(毎日体重計に乗っているが)この1週間で2キロ以上体重が減った。

(いつにも増してローカルな話題ですみませんが)今日の昼、千代田区の神保町に古本と古レコードを眺めに行って、正常な生活周期なら今日は〈まんてん〉でコロッケ・シューマイ・カレーを食って攻撃的に腹10分目になりたいタイミングだったのに、悩んだ末にそれをおいしく食べきる自信がなくて、昼食を神保町で次に好きな店〈いもや〉の天丼に変更し、それをいつものように静かな興奮のうちに食べきったのだが、あの安定した一品を食べても、オレの味覚はいつもよりもあの人懐こい滋味を楽しく感じられなかったのだ。
・・・食に対してオレと同種の感覚を持っている読者ならば、その表現だけで、オレがどんなに、もう既に弱っているかが分かってもらえるんじゃないだろうか・・・・。

今日、何かポジティヴな気分になったとしたら、朝日新聞の夕刊で、この↓記事を読んだ瞬間だ。ただ、最後の〈権力を分散させる〉という表現にはひっかかる。オレはそもそも〈権力〉という単語自体で背中の上半分に寒気がするようになっちゃったので、それが集中しようと分散しようと、雨で散って黒いアスファルトに貼りついて情けなく汚れていようと、そこにそいつがあるだけで、呼吸が苦しいのだ。・・・その部分以外の線を引いた箇所は、だいたい、我が意を得たり、な発言なのだが。


“花”が散って、花びらを全部清掃局が焼き場に持っていったら、〈まんてん〉でコロッケ・シューマイ・カレーを食おう。コロッケ・ウィンナーでもいいなー。

3.13.2010

では、のちほど

■快晴。抵抗日和。アロンジ・アロンゾ。

Freedom Against Safety & Security
Anti Public Welfare Action
不穏で不安な「東京都安全・安心まちづくり条例」に反対するプロジェクト

3.12.2010

村に戻る気はねぇんだ


■今年に入ってからドップリと聴き込んでいるバンドがある。その名をジェロニモレーベルという。レーベルと名乗るがバンドであり、というか、ヒデヨヴィッチ上杉(歌・ギター)が不固定ドラマー“誰かドラムを叩く人”と2人でやってる、関西拠点の恐ろしくカッコいいロックン・ロール・ユニットだ。今売っている『ミュージック・マガジン』3月号でも、「りあるインディ盤紹介〜Do It Yourself !」で行川和彦さんが約30行に渡ってこの1月に出たスタジオ録音のセカンド・フル・アルバム『村に戻る気はねぇんだ』を紹介して絶賛し、“感動した”と書いている。

音楽芸術は第一に娯楽であって、娯楽には嘘があって構わない。《三つの真実にまさる、一つのきれいな嘘を》というくらいだ――開高健はこれを“芸術の核心をついた言葉”として座右の銘の一つとした。でも、これを一つのきれいな嘘が肯定されるための条件を示した言葉として胸に止めるなら、アーティストにとっては相当に厳しい言葉である。
と思って日本のポピュラー音楽を耳にすると、往々にして、ただの嘘、つきっぱなしじゃねえの? という気がしてくる。こと、大金使って大手レコード会社がTV広告を打ち、やっきになって売り込んでるような音楽の多くは面白いほど薄っぺらだ。15秒のスポットで視聴者の“心をつかむ”(ナメんなよ)ために、チョコレート・ムースのようなサビから先に書いたような歌のいかに多いことか・・・。
で、“アーティスト”たちはそのサビで絶頂点に持ってく前段として不自然なAメロBメロをでっちあげ、待っててね、我慢しててね、もうすぐだよ、がんばって、愛してるよ、という artistic と artificial の意味を取り違えた妙ちきりんな前戯がある。で、三つのウソに導かれた、一つの大ウソがにぎにぎしく、ぎょうぎょうしく展開され、その翌日には着メロとやらで、その錆びがノロウィルスのごとく大気感染していく・・・。

そんな音楽にウンザリしている耳に、ジェロニモレーベルの音楽はスーパーにクールだ。なにしろ、一気に核心に突っ込む。というか、そもそも、きれいな嘘なんかつこうとしてないし、その必要もなく、そこにはほとんど真実しかない。芸術の核心をつこうとしていない代わりに、ロックン・ロールの核心をついている。オレは職業柄、用語の使用法に厳格を期すべく努めるので、マスコミやレコード業界の大半のように“ロック”と“ロック・サウンド”を混同しない。だからここでの“ロックン・ロール”とは、嘘のない娯楽、快楽のことである。曲の内容を、まずはこの曲名から想像してみて欲しい。


ジェロニモレーベルには、ずうたいデカいレコード会社の社員を食わせなくちゃいけない心配はない。そもそも歌詞の中身を検閲するお偉いさんを通さないとCDが出ないような管理社会のあり方そのものと対立している。ヒデヨヴィッチ上杉が歌う通り、“何でもカネに換えなアカン”システムの、管理規制のフィルターを通って世に出るような“ロック”も“パンク”も、“インディー・ロック(?)”も“オルタナ”も、ついでにいえば“エコ”も“ロハス”もその意味においてたいていはもどきで嘘っぱちだ。こういう、真のインディペンデント、オルタナティヴ、本当に嘘のない娯楽、快楽こそ、自分から手を伸ばさないと、自分から探さないと手に入らない。テレヴィのスイッチをオンにしても、ダダ流れしてはこない。

ゆずコブクロが“大衆のアヘン”なら、ジェロニモレーベルは持たざる者、搾取される者の腹の奥をカッカさせるアブサンであり、腐った社会に目をつむってきた連中にとっての覚醒剤だ。摂取せよ。

ジェロニモレーベルのサイト  http://www.gernm.com/ 
・・・my space リンク、試聴、動画視聴、ライヴ情報etc.。

***今月、東京でも2ギグ!***
■3/25(木) 下北沢 Never Never Land
ドラムズなしのソロ・アクト/投げ銭。
■3/26(金) 高円寺 UFO CLUB
ブッキング/バンドでの出演。・・・これらの詳細も上記サイトで。

3.04.2010

ジョニー・デップ、オン・ギター



■ザ・ポーグスのシェイン・マガウアンが、お友だちを集めてスクリーミン・ジェイ・ホーキンズの大名曲をカヴァーしたクレイジーなハイチ救援シングル。


話題の参加者陣は、ニック・ケイヴ、ミック・ジョーンズ(ex.ザ・クラッシュ)、グレン・マトロック(ex. ザ・セックス・ピストルズ)、クリッシー・ハインド(プリテンダーズ)、ボビー・ギレスピー(プライマル・スクリーム)、パロマ・フェイス、そしてジョニー・デップ

シェイン・マガウアンを筆頭に、なんとも不健康を絵に描いたような素晴らしい面々だが、とはいえ、ジョニー・デップがいなかったら、この面々じゃチャリティーの効果は半減だわな。かっこいいぜ、ジョニー。

シングルの売り上げは、15年間ハイチを支援し続けているダブリンのチャリティー団体〈コンサーン・ワールドワイド(Concern Worldwide)〉へ寄附される。8日発売とか。チリの地震も気になるが・・・。