3.08.2013

《Actipedia(アクティペディア)》始動!

《Actipedia(アクティペディア)》、すなわち、アクティヴィズム(直接行動主義)用の百科事典(encyclopedia)。

〈wiki〉システムを使用して、インターネット上のウェブペイジに誰でも書き込め、訂正できる《Wikipedia》が作られたように、その項目をアクティヴィズムに特化した《アクティヴィズム百科事典》だ。


(収録される事項の、カテゴリー分類⇩)



世界的に有名なイタズラ・アクティヴィストの王様で、日本でも特に松嶋×町山 未公開映画を観るTVのファンには“お笑いテロリスト”としておなじみ、またコンバ - オルタナティヴ・ライフスタイル・マニュアルでも彼らの作ったニセ新聞の話などを紹介している〈 The Yes Men 〉が運営するアクティヴィズムの戦略研究所《 The Yes Lab 》と、ニュー・ヨークの《センター・フォー・アーティスティック・アクティヴィズム(Center for Artistic Activism 》が共同で準備してきたものだ。

この専門事典が一般公開されるやいなや、世界中から、これまでに実施されたアクション、あるいは開始され継続しているアクションに関して、既にどんどん書き込み(=事典に項目が追加)されている。

これは実に素晴らしいアイディアであり、ランダムに見ていくだけで実に楽しく、勇気が出る。みんな、こんな専門事典を待っていたのだ! 世界中で人間はいろいろなことに苦しめられており、それに抵抗するために、いろいろな策を講じて実践している。それまとめた事典を“楽しい”と形容するのは多少問題があるが、でも、この事典が示す世の中は、これまでより間違いなく楽しい。

もちろん中には“支配者”の理不尽に怒りを覚えるものもあるし、見た瞬間に胸が締めつけられ、涙が出てくる項目もある。
たとえば、これは1991年にエイズで大切なパートナーを失ったアーティストが、ニュー・ヨーク市内の20箇所超のビルボード(大型野外広告ボード)に、こんなベッドの写真を掲げて市民にメッセージを送った、というアクションを記した項目だ。
厚生労働省のHIVへの注意喚起対策も必要には違いないが、こうした写真(アーティヴィズムの手法)に、学者と役人の作った文言よりも遙かに直裁的で雄弁なパワーが(それが全能ではないにせよ、意識喚起のためには実に有効なパワーが)あることを否定する人は少ないだろう。

一方で、この“百科事典”の中には本当に笑っちゃうようなアイディアもあるし、こんなんで効果あるのかね、というようなものもある。どこまで本気か、ふざけているのか分からなくても、そういうおかしな、ときに荒唐無稽なアクションが笑い話として広まることで、みんながその背景に横たわっている〈抑圧/被抑圧〉の構造を認識することに繋がる効果を狙っていたりするのだ。

この最新のウェブ専門事典《Actipedia(アクティペディア)》のモットーは、彼らが今回発表した声明文の中から抜き出すなら:

《To change the world we've got to learn from each other.(世界を変えるためには、お互いに学ばなくちゃならない)》

ということになるだろう。

ぼくが先日翻訳出版した『コンバ - オルタナティヴ・ライフスタイル・マニュアル』は、この《Actipedia(アクティペディア)》と全く同じフィロソフィーを持っている本なので、当然トピックの重複も出てくる。

その『コンバ』の刊行と《Actipedia(アクティペディア)》のスタート時期が同時になったのも偶然ではない。どう見たって、これからの世の中、そっちの考え/方法論/生き方に重きを置くようにならないといけないのだ。

そうでなかったら、いつまでたっても我々は、やられっぱなしのままである。

〈権力にオマエの人生を献上すること、それが幸せというものだ・・・〉という催眠術にかかったまま、そのうち、彼らの望み通り、蒙昧の闇に永眠するのだ。