10.29.2010

雑記

■明確な締め切りのある仕事、明確な締め切りがないだけにプレッシャーを自分に課している仕事が重なって、ここ数日、ほとんど家を出ていない。

昨日は行きたかったこれに行けなかった。

昨夜の朝日新聞夕刊を見たら、松本哉氏が先日韓国で入国拒否をくらった笑える話が記事になっていた。


この話は聞いていたが、自分で新聞に書くとは思わなんだ。それに、こういうオレの注目する記事はほぼいつもasahi.com/ では読めない。これ読みたい人の多くは新聞取ってないと思うから、載せておきました。
asahi.com/ で彼の名前で検索したら、先日紹介した〈なんとかフェス〉の記事はちゃんとアーカイヴされてた。カラーで読めます。

明日の晩はジャー・シャカ@代官山。多分、行けないだろう。〈Jah Shaka〉と〈代官山〉というワードが、どうにもうまくオレの頭の中で結びつかない。
しかし、この人のフライヤーはイギリスでの毎度のセッションも、日本でのヤツも本当にかっこいい。


ジャー・シャカのセッションは、彼のホーム・グラウンドであるロンドン、ホロウェイ・ロードの〈ザ・ロケット〉で何度か体験してるけど、あれが最高。また行きたい。音を浴びるということでいうと、オレの人生、ロケットでのシャカのセッション以上の経験はないなー。代官山で同じ気持ちになる自信がない。

この↑リンク先に、90年代のジャー・シャカ・セッション@The Rocket London 映像発見。音は当然現場で体感する素晴らしさを何も伝えられていないが(あの大音量がこんなカメラ機器のマイクで許容できるはずがない)、雰囲気はよく分かる。実際の場所はもちろんもっと暗いので、録画した映像を加工したものなんじゃないかと思う。朝5時のお開きの瞬間にはこんな感じに明るくなるが。

別の発見。〈Alternative Reel〉というサイトに[Literary Anarchists]という興味深いペイジを見つけた。

流石に好きな詩人や作家が多いな、と、嬉しくなったが、ジャック・ケルアックはアナキストとはちょっと違うだろう、と思うし、他にもそんな人が何人かいるが、オレは個人的に、そういう緩さをあまり程度がひどくない場合は適当に許容したいと考えるたちだ。ノーベル文学賞受賞者ジョージ・バーナード・ショウが、「普通の人間はアナキストである」などと言ったのとは別の意味で。

あのジョージ・バーナード・ショウというヤツ、オレはそのひねくれ方があまり好きではない。「16歳でアナキストにならないのは意欲の欠如であり、40歳にしてなおも“そう”であることは判断力の欠如である」とかも言いやがって、それでオレは40歳になってからそう名乗るようにしたんだった。ざまあみろ。

で、この[Literary Anarchists]というペイジで一番目を引いたのはマルカム・ラウリーの写真だ。かっぱらってしまえ。

Malcolm Lowry [1909-57]

"Where are the children I might have wanted? You may suppose I might have wanted them. Drowned. To the accompaniment of the rattling of a thousand douche bags." —Under the Volcano, 1947

今ちょうど、その『火山の下』の新訳を読んでいるところだったのだ。

10.27.2010

ファンキーなどんちゃん騒ぎ

■昨日のグレゴリー・アイザックス訃報の続報。
『ガーディアンUK』の、その後のまとまった記事は、レゲエ・ファンならみんな知ってるあのデイヴィッド・カッツが書いていた。追悼記事にありがちな、故人の功績だけ拾い集めてふわふわと持ち上げるものではなく、ドラッグと犯罪に関するグレゴリーのダーク・サイドも冒頭段落からドライに報じている。出自、幼少期の話、デビュー、黄金期、そしてコカインと斜日のとき……、最後はこの大スターに対する愛情を示しながらもピリッとした皮肉で締めるあたりが流石カッツ、いつもの淡々としたクールな書きっぷり。信用のおける追悼記事になっている。ファンはご一読を。


一読を勧めるといえば『ミュージック・マガジン』最新号。先週の20日に発売になったのだが、113ペイジに〈なんとかフェス〉に関する記事が出ている。あの、長野の山中で行われた粋狂のための酔狂なD.I.Y.フェス〈なんとかフェス〉も、今年まだたったの2回目なのに、もう朝日新聞も取材に来て大きな記事にしたし、なんと『ミュージック・マガジン』も注目していたようだ。それで、われらが酔いどれ文化人の二木信くんに、フェスに関する原稿が依頼された模様。フランクでニュートラルな視点、筆致で書かれたいい記事です。こちらは是非、現物で読んでみて欲しい。


ぼくが準備しているマヌ・チャオ・インタヴューは、『ミュージック・マガジン』の次号12月号(11月20日発売)に載ります。サイズは6ペイジ。

10.26.2010

またまたショックです

■3ヶ月前のシュガー・マイノットに続き、“The Cool Ruler” グレゴリー・アイザックスまで逝ってしまった。昨年ガンの告知を受けて闘病していたが、25日の朝、ロンドンの自宅で他界したとのこと。
享年59歳。


画像は『ガーディアン』紙の第一報だが、同紙はこの速報に続き、完全な追悼記事をこれからアップするという。同紙の報道の細やかさにも頭が下がるが、そもそも、こうした2段階報道の扱いにふさわしい大スターだったのである。

ボブ・マーリーの相棒は、バニー・ウェイラーが健在(今年もヨーロッパ・ツアーを行なった)だが、ピーター・トッシュは20年以上前に殺された。

その“レゲエの神様”マーリーたちの背中を見てきた次世代の五天王と言われたスター集団が、“皇太子”デニス・ブラウンに、この“クールな統治者” グレゴリー・アイザックス、シュガー・マイノット、フレディー・マグレガーにジョニー・オズボーンだ。このうち最初の3人がいなくなってしまったことになる。

ジョゼフ・ヒル(カルチャー)もジャスティン・ハインズも、アルトン・エリスもラッキー・デューベもいなくなった。好きな人がどんどんいなくなる。



10.21.2010

最新プレイリスト

■このくらい秋深まって空気の温度が下がってくると、音楽がザクッと空気を裂いて心に突き刺さってくる気がする。夜、ウィスキーを飲みながら音楽を聴いていると、確実に真夏よりも音楽をちゃんと聴き取れているのが分かる。

個人的に最近繰り返し聴いているCDの、ベスト10プレイリスト。



Duke Ellington, Charlie Mingus, Max Roach / Money Jungle (Blue Note)
Tu Shung Peng / Around Tu Shung Peng (Makafresh)
Orchestre National de Barbès / Rendez-vous Barbès (Association Soudani)
SMOD / SMOD (Radio Bemba/Because/P-VINE)
Terry the Aki-06 / T-Muzik vol. 1&2 (Tokuma Japan)
Tiken Jah Fakoly/ African Revolution (Barclay)
DeepThroat X / XXX (***)
John Legend & the Roots / Wake Up! (Columbia)
Sly Johnson / 74 (Universal France)
Seu Jorge & Almaz / Seu Jorge & Almaz  (Cafuné)

エリントンは1962年、トゥ・シュン・ペンは2008年のファースト。あとはすべて今年の新譜。
LPだと、ここ3週間、セロニアス・モンクとマリア・ベターニアしか聴いてないかも。


10.13.2010

マニュ・チャオ通信(#23)Manu Chao In-Studio Performance @KEXP, Seattle

■12日のシアトル公演の前日、11日月曜にマヌ・チャオはシアトルのラジオ局KEXPに出演して喋ってる。日曜に東京を発って(時差がマイナス16時間だとはいえ)翌日にはガンガンに活動しているわけだが、それをすぐにインターネットでフォロウできるんだから、テクノロジーの発展は、今さらながら素晴らしい。

トピックは・・・

日本公演——「(アンコールでの)〈Tá di bobeira〉が、日本でなんであんなに受けたか分かんない(笑)」、「日本はライヴが7時に始まるんだよ。バルセロナでは11時か12時。で、ブエノス・アイレスじゃ夜中の1時か2時(笑)」、沖縄の音楽に興味があるetc.——、アマドゥ&マリアムの話、「Politik Kills(プリンス・ファッティー・リミックス)」、言語、ブラジル音楽、ガール・フレンド、SMOD、マラドーナ——「彼が悪人なのか神なのかは分からない。ただ、彼はオレのいい友だちなんだ。ディエゴは、“人生、何が起きるか分かんない”ってことのグッド・サンプルなんだよ」——、「Politik Amagni(Politic is no good)」についてetc. …その他、スタジオで弾き語りもやって内容充実の40分。(↑家事をしながら片耳で聴いてたので、ディティルは違ってるかも。録音してiPodに落としたので、あとで散歩がてらじっくり聴いてみる)

アメリカ着いて早々、「Politik Kills」と「Politik Amagni」、両方フル・コーラスかけちゃってるぞ(笑)。

Manu Chao
10/11/2010
In-Studio Performance
Multicultural music superstar Manu Chao stops by KEXP to talk with “The Best Ambiance” host Jon Kertzer about his music, some artists he’s produced, Brazil, and even fútbol. Manu picks up his acoustic guitar for a couple quick renditions of two of his tracks. - W. Myers
http://kexp.org/live/liveperformance.aspx?rID=32362

10.12.2010

マニュ・チャオ通信(#22)Manu Chao 講座 vol.3

■今年は来日するに違いない、という鋭い予測のもとに(?)4月から始まったこのラジオチャンゴJP特別講座マヌ・チャオ編ですが、第1回、前回にひきつづき、第3回もナヴィゲイターを務めることになりました。これまでの2回では、ラ・マノ・ネグラ解散まで/それ以降、ということで彼のキャリアをざっくり振り返ってみましたが、次回第3回は、政治色の強いミュージシャンであることは日本のファンにも知られているものの、その“政治色”とは一体何なのかはあまり理解されていない点に着眼し、いわゆる〈ミュージシャン・アンガジェ(政治/社会問題に積極的に関与するミュージシャン)〉としてのマヌ・チャオにスポットを当てます。さらに、スペインや南米産のラテン音楽とマヌ・チャオ・サウンドとの関連性も見ていく中で、彼の思い描く“もうひとつの世界”というものを考えてみよう、というのがテーマです。

となると専門家の話が聞きたくなるわけで、次回は、日本を含む現在の“先進諸国”が主導する経済“新帝国主義”への対抗措置を提唱する団体 attac の稲垣豊さんと、毎年『ミュージック・マガジン』誌で〈年間レゲエ・ベスト・アルバム〉を選考する際のぼくの相棒でもあるトラベル系音楽ライター大石始さんをお迎えして、いろいろと音楽を聴きながら、あるいは先日の来日公演の話も交えながら、楽しく憤ってみたいと思います。

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ラジオチャンゴJP特別講座 vol.3
マニュ・チャオ、もう一つの世界を夢見て
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20101017日(日)1800
カフェ・ラバンデリア
入場無料(但しワンドリンクオーダー)

20017月、
反グローバリゼーションの運動が最高潮に達したイタリアのジェノバ。
その街で開催された“G8サミットに反対するための
大きなデモ隊の中に彼はいた。
遡ることその4年前には、
資本主義の中枢である金融取引に
課税という楔を打ち込もうとする社会運動団体
“ATTAC”設立の賛同人に名を連ねている。
悪名高い世界経済フォーラムの対抗として生まれた
世界社会フォーラムのステージに上がり、
サパティスタ民族解放軍に連帯の意志を示すマニュ・チャオ。
3回目となる今回も前回に引続き、
ナビゲーターには音楽評論家の鈴木孝弥氏、
またゲスト・スピーカーとして音楽ライターの大石始氏、
ATTAC JAPANの稲垣豊氏をお招きして、
彼の政治的背景、また彼の目指す
「もうひとつの世界」とは如何なるものかを探ってみたい。

前回同様、今回もインターネット中継を行います。
アドレスは当日下記のサイトでお知らせしますので、ご家庭でもお楽しみください。
More Info

念のために記しておきますがマニュ・チャオ本人は来ませんのでお間違えのないように。

Navigator: 鈴木孝弥
アナキスト、音楽評論家。

Guest Speaker: 大石始
トラベル系音楽ライター。

Guest Speaker: 稲垣豊
ATTAC JAPAN

マヌ・チャオ〈ラ・ベントゥーラ(ラ・ヴァンチュラ)〉、今日12日は西海岸ツアーの初日シアトル公演ですね。

10.11.2010

黄長燁死去

■昨夜、RFI(ラジオ・フランス・アンテルナシオナル=フランス発の世界向け報道ラジオ局)を聴いていたら、黄長燁(ファンジャンヨプ)さんがソウルの自宅で急死したことをトップ・ニュース扱いで大きく報じていた。


昨夜、日曜夜はテレヴィで平日のようなニュース番組がなかったので、今朝、テレビ朝日の報道番組を朝6時から見てみたが、北朝鮮の軍事パレードに後継者と目される三男が出席して市民にお披露目されたことはトップ格で報じ、テレ朝のソウル支局長も今、その話を生でソウルから報じているが、何故、そのソウルで黄長燁が心臓マヒで急死したことは1秒も言わないのだろう? 三男が大々的に市民、そして世界に正式にお披露目された日に、ちょうどその同じ日に、政権にとって一番邪魔だった人物が、これまでも暗殺指令を受けたスパイが常に命を狙っていた人物が、“都合よく”心臓マヒで死んだのに。

金正日の元側近で全脱北者の中でも最高重要人物だった黄さんは、拉致問題でどうにもならない状態にある日本政府にとっても、最も大切な北朝鮮出身者の筆頭だったのではないか? だから厳重に警備してまで彼を今年4月に日本に呼び、当時の中井拉致問題担当相や拉致被害者家族が彼と会ったんじゃなかったか?

ざっとウェブ・ニュースを見ても、『ニュー・ヨーク・タイムズ』も『ガーディアンUK』も写真付きで報じているが、日本のメディアでは目につかないか、あってもどこも写真なしの短い報道ばかり。

来日したばっかりのソロモン・バーク急死にもビックリしたが、正直にいえば、ビックリの質が違う。その情報は、今の時点でヤフー・ニュースのトップの見出しに載っている。

10.09.2010

マニュ・チャオ通信(#21)新宿ど真ん中デモ

■今日、〈朝霧JAM〉 に行ってる人は、マヌ・チャオ~ラ・ヴォンテュラの最後の日本公演を堪能することだろう。
ぼくは昨日の夕方、東京でマヌ・チャオと会うことができた。『ミュージック・マガジン』の取材だったのだが、その話の前に、道義上、お詫びをしなくてはいけない人たちがいます。

ぼくは誰かアーティストの取材をしてインタヴュー記事を書いたりするのが不得意で、かつ、明らかに下手くそなので、20代から30代にかけて何十回とやりましたが、その都度直されたりして落ち込むので、もうこの10年以上、自分が作る本のための取材以外では、一切の取材/インタヴュー仕事を断ってきました。そういう仕事の依頼があるときは、たいていの場合、誰かの新作アルバムの宣伝のためにレコード会社が雑誌媒体に広告を打って、そのバーターで本文にそのアーティストのインタヴュー記事を載せる、というパターンなので、特に好きでもないアーティストの新作をがんばって好意的に書くのはぼくにとって恐ろしく苦痛だし、こんな仕事してまで原稿料はいらねえや、ってすぐ思っちゃうし、でも好きなアーティストのときだけ仕事を受けるというのもいやらしいので、それですべて断ってきました。中にはぼくの好きな日本のアーティストのマネージャー氏からじきじきに自宅に電話がかかってきて頼まれたりして、そんなありがたい申し出を丁重にお断りするのも本当に辛かったのですが、とにかく言葉を重ねてご理解をいただきました。

そうした方々に対しては完全に道理のはずれたことになってしまうのですが、マヌ・チャオに会って話を聞かないか? と言われたら、どうやってそれを断れましょう。それも、うちから歩ける距離にあるホテルに投宿しており、そこに行きさえすればいい、というお膳立てです。すみません、とにかく彼は別格に特別な人なもので、これは全くの例外としてご容赦下さい。それで、ほいほいとでかけてしまいました……。

その内容は11/20売りの12月号に掲載されることになるのでここには当然書けないが、決められた取材時間のあとで(というか、その時間さえオーヴァーしました、すみません)、東京有数の繁華街の路上でマヌ・チャオと立ち話を(パチンコ屋のネオンをバックに!)した内容の一部については、今日のうちに書いておく必要があるので以下に記したい。

チャオは、沖縄問題について、先日の大阪のステイジで〈米軍は日本から出て行け!〉と叫んだことが Twitter 上でも話題になっていたが、今夜の朝霧のステイジでも再度アピールすると言っていた。さらに、彼は朝霧から東京に戻ってきて、日曜(10日)午後の〈米軍だけじゃない、自衛隊も沖縄を踏みにじるな! 新宿ど真ん中デモ〉にも行ってオレも一緒に歩くと言い出し、チャオのマネージャーも「あったりまえだ、行かなきゃダメだ!」と言って盛り上がったのだが、予定を確認したら、次のツアー地アメリカ西海岸へ発つ飛行機の時刻との兼ね合いで15時出発のデモに参加するのは不可能なことが分かり、マヌ・チャオは“非常に残念がって”デモ参加を諦めたのだ!
彼は、沖縄を、その海を、そこの人たちの尊厳を守るために東京でも有志市民が立ち上がったその運動のデモで、明日の日曜、オレたちと一緒に新宿を歩こうとしていた!

彼の気持ちを無駄にしないため、そしてファンのひとりとして、多くの日本のマヌ・チャオのファンとその気持ちを共有したいので、そのことは今日のうちにここに書いておく。

その、明日の〈米軍だけじゃない、自衛隊も沖縄を踏みにじるな! 新宿ど真ん中デモ〉は、当局が事前のデモ申請を正式に受理していたにも関わらず、今日、直前になってデモの集合場所とコースの変更を強制してくるという撹乱戦法の暴挙に出ており、この集会とデモは、始まる前から異例の弾圧をくらっている。それこそ、政府が東京でもこの声が大きくなることを恐がってる証拠だろう。菅再任後の現政府としては、この沖縄問題は連中のアキレス腱になりかねないからだろう。

とにかく、〈朝霧〉を日曜の最後まで見る人たちは当然参加は無理なわけだが、明日東京・新宿に来られるマヌ・チャオのファンは、彼の分まで一緒に新宿を歩きませんか!?


来週日曜17日には、連続企画Radiochango JPプレゼンツ〈マニュ・チャオ講座〉の第3回がいつもの新宿二丁目カフェ・ラバンデリアで行われるが、その詳細は週明けに。

10.05.2010

で、当然このデモもTVニューズじゃ放送されないが、

■当辞典では報じます。

オレは、
正義が真っ先に示されるべき場所は、
どっかの海に浮かぶ島なんかじゃなくて、
誰もが座って好きに休めるはずの、
街中の公園のベンチだと思います。

とりはだ

■昨日のマニュ・チャオ@リキッドルームは凄かったねー。今日はそのマヌ・チャオのことを書くべきだったんだけど、それよりはるかに驚いて鳥肌が立ったのがこのニュース。

渋谷を2千数百人もがデモしたんだと。いや、驚いたのはこのデモのことじゃなくて、これを日本のマス・メディアがどこも放送しなかったってことだ。米CNNや仏AFP通信、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙、当然、中国や香港、タイのメディアも報じたこのデモの様子を、日テレ、読売、産経新聞すら、報じなかったんだって。

もちろんオレは日の丸持ってデモするなんてことは死ぬまでないし、アナキストが領土問題を気にするはずないので、デモ隊の主張に同意することはないわけなんだけど、一応、こういう人たちが2千何百人も渋谷に集まったってことは報道すべきニュースじゃないの?

パンダ大使の話とか、渡り鳥の第一便が福島に飛んできたニュースより、こっちの方がニューズ・ヴァリューが低いのかい? まさかね。みんな横並びでだんまり。怖すぎるぜ、この国。どっかの国やどっかの国のメディアと一緒じゃん。


反中国デモ「報道せず」のなぜ 外国主要メディアは次々報道
2010/10/ 4 20:48



   2000人以上も集まったデモなのに、なぜ報道しない――。尖閣問題を巡る大規模なデモについて、日本のメディアが報じなかったことに、ネット上で疑問が相次いでいる。
   会場は人また人の姿、そして日の丸の旗が所狭しと並んで…。

2ちゃんはスレが次々立つお祭り騒ぎ

沿道はデモ隊でぎっしり

   東京・代々木公園内で2010年10月2日に開かれた集会には、主催者発表で約1500人もが集まった。
   「日本の政治家はきちっと守れ!」
   元航空幕僚長の田母神俊雄さん(62)が、日本の対応を弱腰と批判する。尖閣沖の中国漁船衝突事件で、中国の強硬姿勢に抗議するとともに、船長を釈放するなどした民主党政権は許せないというわけだ。
   その後、渋谷などをデモ行進し、主催者発表によると、約2700人にまで参加者が膨れあがった。デモは、田母神さんらによる右派系の団体が主催し、この日はほかに全国16か所でも統一行動が行われた。
   この模様は、日本のメディアでなく、海外メディアがなぜか先行して報道した。それも、米CNNや仏AFP通信、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙といった大手だ。さらに、中国・香港やタイのメディアも報じている。
   ところが、日本のメディアは、ほとんどなしのつぶてだった。わずかに一部ネットニュースなどが報じたのみだ。これに対し、ネット上では、これだけ大規模なデモなのになぜ報道がないのかと、疑問が噴出。2ちゃんねるでは、スレッドが次々に立つお祭り騒ぎにさえなっている。
   なぜ、日本のメディアの多くが報道しなかったのか。
   憶測は様々に出ているが、新聞やテレビの回答や反応は、画一的なものだった。

「告知が目に留まらなかった」

   朝日新聞は、限られた紙面の中でニュースバリューを判断しているとし、取材の経過などについては「お答えしておりません」(広報部)と答えるのみだ。毎日新聞も、報道しなかった理由は答えず、今後についても「報道予定は決まっていません」(広報担当)とした。
   テレビでは、NHKは、ニュース採否の理由は公表していないと回答。しかし、「中国が反日デモをした場面は報道されたのに、どうしてNHKはこのデモを報道しないのか」といった意見が寄せられていることは明らかにした。
   民放キー局でも同様で、「放送していないものについては、回答はできません」(フジテレビ)、「ニュース項目の判断基準は、お答えしていません」(テレビ朝日)といったコメントだった。
   ただ、マスコミ内部からは、批判もあるようだ。
   産経新聞の古森義久ワシントン駐在編集特別委員は、自らのブログで2010年10月3日、「産経新聞も報道しなかったとすれば、私もその一員として残念」と告白。その代わりに、ブログでデモの様子を紹介した。
   産経が出している夕刊フジは、4日発売号で、デモが報じられなかったこと自体を紹介。それによると、田母神俊雄さんは主要メディアには直前にリリースしたと言っている。しかし、ある全国紙の記者は、告知が目に留まらなかったと漏らしているという。こうしたことから、各メディアがこれほど大規模なデモになるとは思っていなかったのが真相に近いというのだ。

以上《J-CAST ニュース》より

この締めの推測もどうかね。大規模になるかどうか分かんなくたって、取材に来るところは来るんだよ。200人程度のデモだって、東京新聞とか毎日新聞とか取材に来て、でも実際は記事としてボツになることが多い、ってのが普通のパターン。国民に伝えたくないことはマス・メディアから伝わらないように、どこかのレヴェルで操作できる国、ってことだよね、いまだに。
ま、今回の場合はブリュッセルでの温家宝と菅の会談を仕組んでた筋が、中国やベルギーまで“雑音”が届かないように配慮して力技を使った、っていうのが正しい読みのような気がするが、いずれにしても誰かの臭い息がかかればマスコミは固まる、っていう力の構造は一緒。
気持ち悪くて鳥肌立つだろ? 

10.02.2010

よわいひとたちへ

■宮下公園が先月15日に封鎖され、その翌週の祝日23日に、雨の中、抗議行動が行なわれた。そのときの抗議スピーチの中で、この〈よわいたたかい〉という言葉はさすがに胸にずっしりと、錨のように沈んでいった。



▼「OUR STRUGGLE - よわいたたかい」 2010年 48秒 B&W

「私たちのたたかいは「よわいたたかい」だと思います。私たちの目指す世界は「よわい世界」だと思います。そのよわくて、弱者で、弱虫で、臆病者である私たちの期待こそ、やはり、この世の中を変えていくんだ、ということを、最後に宣言したいと思います。(「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」 2009年9月23日 東京・渋谷宮下公園前)

[音楽] ふちがみとふなとカルテット「ナ・ララ」
[編集] イルコモンズ
[参考] 「よわい運動」(「イルコモンズのふた」)


ぼくは、この言葉は100%正しいと思う。
私たちの目指す世界は「よわい世界」である。
世の中を変えたとしてもなお、その世界はよわいままであるべきだ。
腐臭をまき散らす“強さ”に負けないよわさであるべきだ。