レイラとベナリ♥
■ベン=アリ(ベナリ)の哀れな逃亡から2週間弱が経過したチュニジアだが、〈ジャスミン革命〉の芳香にむせ返る国では、次々に傑作ジョークがインターネットを通じて生まれ、広がり、増殖している。その中の一部を仏『ル・モンド』紙の「チュニジアンが彼らの革命を嗤うとき」という記事で紹介しているのを見つけた。で、歴史的な事件なので、ザクザクと書き抜いてみた。
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【汚職】
アリ=ババは去った。が、40人の盗賊はまだだ。
【新聞の三行広告】
求人no.140 111:チュニジアに新大統領1名求む。経験:初心者可。契約:期限あり。必要資格:孤児、ひとり息子、生殖力がなく、特に、床屋通いが不要なように禿げ頭であること。
(ベン=アリ第2夫人レイラ・トラベルシは元理髪師で、彼女の家族がチュニジアの大企業を私物化し暴利を貪っていた)
【新種の動詞】
オレ、昨日さ、床屋へ行ってレイラって(髪を切って)もらったんだ。そこで売り上げ金をトラベルシよう(盗もう)と思ったんだけど、チュニジアり(身を守り)やがって、だからオレ、ベナリっちゃった(逃げちゃった)よ。
【酔い】
変革の陶酔のあと、チュニスは国家的二日酔いとともに目覚める! 民主主義はアルコールの如し。節度を持って飲まれるべきものだ。しかし人民がアルコール中毒である限り、あっと言う間にがぶ飲みして、「一気! 一気!」で飲み干してしまう。結果:国は民主主義の昏睡に沈むのだ。
【銀行】
ベン=アリは連帯責任銀行を設立し……銀行とともに逃亡し……連帯責任だけ置いていった。
【大統領】
オレたちは23年にひとりずつ大統領がいた。今は毎日ひとりずついる。
(ベナリの国外逃亡後に移行政府のトップが次々に変わっている)
【コメンテイター】
以前、この国には1000万人のスポーツ・コメンテイターがいたが、今は1000万の政治コメンテイターがいる。
(チュニジアの人口はおおよそ1000万人)
【カダフィー】
オレらが熱いうちにやっちまおう。明日の朝、トリポリ(リビアの首都)に9時ごろ集合。9時半にカダフィーを倒す。最高にかかっても10時までに終わらせる。それから戻ってきて、オレたちの革命の続きをやる。
【(最後に笑うものが)よく笑う】
1987年にベン=アリはハビーブ・ブルギーバに対してクー・デタを起こした。2011年、今度はハビーブ・ブルギーバが仕返しをした。
(チュニジア共和国初代大統領の名を冠したチュニスの《ハビーブ・ブルギーバ・アヴニュー(大通り)》での1月14日のデモがベナリの失脚~国外逃亡の決定打となった)
【三つ子の魂……】
“速報です:今朝目覚めたサウジ・アラビア国王は、所持金が足りなくなっていることに気がついたということです”
(ベナリは国を追われてサウジ・アラビアに亡命した)
【雇用】
ベン=アリは我々に30万の雇用創出を約束した。それで彼は我々に1000万人分の仕事を作った……地域警備員の。
(ベナリの軍隊から自分たちの住む地区を守ろうと、市民が組織を作って権力からの暴力を警戒したことを指している)