7.30.2011

わしらは、国家のない国に生まれたかったのう

■埼玉県川口市の10歳女の子の尿からセシウム検出
保安院、やらせ質問を中部電に依頼 「シンポで賛成を」 
保安院やらせ指示、四国電も 原子力関連シンポ
エネ庁《平成23年度原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)仕様書》


福島市の高校教員・中村晋さん(44)が5月末に《朝日新聞》へ行った投書については、このエントリーで伝えた。
「いっそのこと原発なんて全部爆発しちまえばいい」

まず間違いなく同じ中村さんだと思うが、昨日7月29日付けの《朝日新聞》の同じ投書欄に、「妻と5歳の息子を山形県内に自主避難させることに決めた」という書き出しの、国や県によって“妻子と引き裂かれる”中村さんの悲痛な抗議文が載っていた。


311以降、多くの人がこの中村さんのように井伏鱒二の『黒い雨』を思い起こしたことだろう。オレもこの中村さんの引いた『黒い雨』のフレイズと、もうひとつ、頻繁に思い起こすのが、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『一市民の反抗』(山口晃・訳)の有名な冒頭のパラグラフだ。



今、まったく役に立たない政府は当然困る。しかし、ここまで国民を苦しめ、不安にさせながら、生産者の“反乱”を恐れて汚染の可能性がある食材をチェックせずに市場に流し続けるという未必の故意による犯罪を行っている政府を、ここで叩かなくてどうするんだろう。役に立たない奴らに、もっと苦しめられたいのだろうか? みんなそんなにマゾヒストだったっけ? 


明日はこれに行く予定。


――原発のせいで、私たちの大切な食卓が脅かされている。
放射能フリーの野菜を安心して食べられる当たり前の社会にしたい!――
『野菜にも一言いわせて!さよなら原発デモ~未来に輝け上関・祝島 原発なくても大丈夫!!パレード』

★日にち:
2011年7月31日(日)
15:45頃 集合
16:00   パレード出発

★集合場所:
東京ウィメンズプラザ前
~UNハウス(国連大学)付近にお集まり下さい
 交通案内→
  渋谷駅下車徒歩12分:表参道駅下車徒歩7分
   都バス(渋88系統):渋谷駅からバス4分青山学院前バス停下車徒歩2分

インフォメイション:

7.29.2011

2011.07.27 国の原発対応に満身の怒り - 児玉龍彦

■これは、観ておいた方がいいと思います。
最先端の地デジに変わっても、テレヴィでは放送されません(ああ・・・)。

2011年7月27日 (水) 衆議院厚生労働委員会
「放射線の健康への影響」参考人説明より
児玉龍彦(参考人 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)




▼▼▼後記(08月01日)▼▼▼
この映像、削除されましたが・・・ 

▼▼▼後記(08月03日)▼▼▼
映像、また観られるようになってます!

来年3月末まで国民のブログや twitter を監視する費用:税金から7,000万円


■これで、国民が何も言いたいこと言わないで静かにしてると、この7,000万、丸儲けじゃん、この広告代理店。
しかし、税金からこれだけの大金使って国民の言論を監視するっていうんだから、輝かしい先進民主主義国家だ。こういう金の使い方だけはスンナリ決まるんだな(笑えねえ)。こんな国が、原発事故の被害に遭って泣いている国民ひとりひとりに細かいケアなんかすると思う?

東京のTV局も、電車の頭、埋めたり掘ったりしてる国の話は時間かけて報道するけどさ、国民のブログやツイートを大金使って監視する国の話はしないのかい。

ま、「入札が済んでいる事業」とのことだから、今後、我々にできることはといえば、各自が思い思いの意見、不満、文句を大量にネット上にブチまけて、支出が決定してしまったこの税金を“できる限り有効に”使うことだけだ。

仮に監視される対象の情報が、来年3月末までに7,000本しかなかったとすると、例えば:

「とにかく、国と国民と地球のことを思うなら、子供の未来にまで不吉な影を落とす原発はすぐにやめてもらいたい!」

なんていうツイートを1つチェックするギャラが単純計算で1万円ってことになる! そんな税金の使われ方は許せないから、1件当たりの監視料ができる限りゼロ(ただ働き)に近づくようにしたいところだ……。

7.28.2011

監視万歳!

■今月はブログをほとんど更新しなかったけれど、このニュースを見て、更新する気になった。

エネ庁が原発記事を監視 11年度はツイッター対象
経済産業省資源エネルギー庁が2008年度から、報道機関の原発関連の記事を監視する事業を行っていたことが26日までに分かった。本年度は東京電力福島第1原発事故を受け、短文投稿サイト「ツイッター」やブログなどのインターネット情報を監視するための補正予算を計上している。
08~10年度に実施されたのは「原子力施設立地推進調整事業(即応型情報提供事業)」。計約4千万円で外部委託し、電力会社幹部が理事などを務める団体が受注してきた。
2011/07/26 05:16   【共同通信】
(本文太字・赤字はオレ)

税金を使って、twitterやブログの原発関連記事を監視するのだそうだ。当然ながら、主に原発ポリティックスを批判する言説を対象に監視するわけだろう。
そうこなくっちゃね! まあ、どうせお上のや(らせ)ることなんで〈監視〉といっても穴だらけなんだろうけど、なるべく穴がない厳しい監視をやってもらうことを期待して、それを前提に考えるなら……つまり、みんなの書くことが、これまで以上にお上に、ダイレクトに、ちゃんと伝わるってことだもんね。今まで以上に原発マフィアを効果的に、直接的に攻撃できるようになるとしたら、それは願ってもないことだ。

だから書くけど、オレが今頭に来てるのは、連中の言う(つーか、利用する)〈風評被害〉という言葉だ。

オレは東北や北関東産の野菜をほとんど買わない。理由は、
1)政府を信用していない 
2)スーパーに並んでいるものは、そのほとんど全て、検査されていない個体だから 
3)「食べて東北を助けよう」というようなキャンペインが、科学的にもモラル的にも犯罪的ではないのか、と考えるのと同時に、そういう偽善的な感情統制で、国民の視点が問題の本質からずらされていくことを危惧するから

農業従事者も家畜業の従事者も気の毒だが、彼らを助けるのは、その生産物を食べてあげることではないと思う。被害者としての彼らを助けるのと同時に、他の国民の食の安全もきちんと考慮されるならば、〈疑わしきは罰せず〉と同様、〈疑わしきは食させず〉という方針を国が明確に打ち出し、全ての被害を(国民に食わせて賄おうとせず!)丸ごと金銭で補償する政策を打ち出すことだろう。

稲わらが高濃度で汚染されていた**県産の、今出回っている野菜の安全性に関しては誰も問題にしない。きっと放射性物質は稲わらが大好物で、そこだけを目がけて降ってきたのであって、他の農作物も土壌も、川も、何も汚染されていないのだろう。きっと、そんなことを心配してそういう**県産の野菜を買わないチキンはオレ一人なのだろう。で、オレは、あのへんの海の魚も(心配で気持ち悪い、という気分は味に影響するし、つまり食事が楽しくないので)絶対に買わない。

そんなチキンなオレでも、ブログで自分の考えを書く自由はあるはずだ。そして自分の望みを書く自由もある。

世の中にこういう「私は絶対に買わない」的な個人の意見がもっと自由に溢れるようになり、それが連中の言う〈風評被害〉の元となり、そのせいで〈疑わしき〉食材がもっと売れなくなり、その全被害額がきちんとしかるべきソースから被害者に現金で賠償されることを望む。
その莫大な賠償額によって、「ああ、やっぱり原発は数字的に全然“合わねえ”なあ」とマフィアのみなさんに実感してもらうことを望む。
その意味で、これは〈風評被害〉などではなく、立派な〈実被害〉であることを認識してもらうことを望む。
好きな野菜も好きな魚も食わずに、そういう風に抗議することを、オレは選ぶ。

つまり、このブログもちゃんと監視してくれることを望む。〈お気に入り〉に入れてくれ。twitterも始めたから、エネ庁アカウントから遠慮なくフォロウしてくれよ。がんばれ日本政府♥ 

7.01.2011

福島市でのこと


■26日に参加した福島市〈福島1万人ハンカチパレード〉についてツイートしたら、多くの方から@Suzuki_Koya 宛てにご質問やご意見をいただいたのですが、確かに140字で詳細を説明するのは難しい話ですね(あれだけで138文字です)。そのみなさんへのお返事も、各140字ではとても無理なので全部まとめて、福島で目にしたことや耳にしたことも加え、なるべくここに詳しく記したいと思いました。

そもそものことの背景ですが、今回の福島市のデモへは東京から〈バス・ツアー〉が企画されました。運転手付き49人乗りの大型バスをチャーターして東京と福島を往復した、そのデモに参加するためだけの、約50人のツアーです。

オーガナイズしたのは、2007年から、核問題に特化して運動を始めた非営利団体《NO NUKES MORE HEARTS》で、いわば反核アクティヴィストの専門家集団。同団体の人たちは、往復のバスの中でもマイクを使い参加者をガイドしてくれました。手元にガイガー・カウンターももちろん携帯しており、往路のあるあたりで「そろそろ車内の線量が高くなってきましたから、みなさん各自マスクで防護してください」というアナウンスがあり、「おー、いよいよか」と思いました。車内には複数の参加者が持参したガイガー・カウンターが何台もあり、所有者のうちひとりが「お、結構高いね」と言った声も耳にしました。ぼく個人はガイガー・カウンターを所有してはいませんし、実際の数値も見ていませんが、そういう状況は予測していたので特に驚くことはありませんでした。YouTube(だっけな)で、北に向かう東北新幹線の車内で線量計の数値が上がっていくところを撮影した人の動画を観ていたからです。

それから、本当に福島市の人たちがマスクをしていないのか? ですが、デモの参加者はさすがにマスク着用率が高かったのですが、歩道を歩いている通行人は、ぼくの見た限り、そのほとんどの人がマスクをしていませんでした。パレードは最初から結構な雨降りでしたが、のちに雨は徐々に弱まり、JR福島駅前には多少の人が出てきていて、デモの後半に駅前を通過するときには、デモで通行を止められてしまった、まとまった数の歩行者のみなさんを車道から眺める機会が数度あったのですが、おおよそマスクの着用率は1割くらい、というのが実感でした。部活帰りの男子中学生(だと思う)が、4人組くらいで、上下ジャージ姿、大きなスポーツ・バッグを背中に斜めに背負い、当然マスクなどせず、小雨に濡れるまま、こっちを眺めながら自転車で、急ぐでもなく、たらーり、たらーりと走っていきました。まるで、この県に〈なにごともなかった〉かのようでした。

デモ終了後、バスの出発時刻までの数十分間、現地の方数名と話ができました。そこで最も印象に残ったのはこんな話でした。
ぼくの質問:「福島市は線量が高いのに、マスクをしてない人は多いし、若い人たちは何故、平気で雨の中、頭を濡らして自転車に乗ってたりするんでしょう?」に対して、ある方はこのように答えてくれました。

「みんな、もういい加減、嫌になって、疲れちゃったんです。お金持ちは、子供を福島から離れさせるために早くに逃げました。子供たちは学校から帰ってきて、**くんが転校した、##ちゃんが転校する、という話をするのですが、逃げたくても多くの家庭は主に経済的理由から、ここを離れられません。すると、あんたの安月給のせいでうちは・・・という夫婦喧嘩が始まり、それを見ている子供も、小さくして階級社会の非情のようなものを感じることになります。そうするうち、本当は家族で力を合わせて助け合っていかなくちゃならないときなのに、逆に家庭の中がぎくしゃくしてくるのです。そこから抜け出すための経済力もなく、生活環境にもない人たちはどうするかといえば・・・親も、子供も、みんな、〈なにごともなかった〉ものとして振舞うようになるんです」

また、話を聞くことができた複数の人が、山下俊一に対する激しい怒りを隠していませんでした。国際放射線防護委員会(ICRP)が、公衆の被ばく限度を年間1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)と定めているのに対し、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーである長崎大学教授の山下が、「100ミリシーベルトは大丈夫。毎時10マイクロシーベルト以下なら外で遊んでも大丈夫」と断言し、県の“緩い対応方針”の根拠になってしまったことを強く非難していました。

帰りのバスの車中では、〈ツアー参加者〉がマイクを使って福島市で感じたことを順番に話していましたが(実はぼくは疲れてしまってその大半を眠っていたのだけれど、起きていたときにたまたま耳にした)ある人は、こんなことを話していた。デモの前に福島駅前を散策していたら、信号待ちの人たちが誰もマスクをしていないので、東京組(全員マスク着用)は案の定、現地の彼らに何故マスクをしないのか訊いたのだそう。その答えは、「だって、もう暑いんだもの。もう、あんまりみんな気にしてないんです」だったという。

さて、〈昨日福島市で雨に当たった衣類の被爆線量1.44μSv。衣類もバッグも念入りに除染。〉と書いた箇所についても、疑問の声、質問など、いろいろとリアクションをもらいました。

東京に帰ってきたのは深夜でしたが、その夜中、友人イルコモンズさんから〈ドラム・サークル〉のメイリング・リスト経由で連絡をもらった。ぼくたちは数十名からなるドラム・サークルを作っていて、そのサークルとして福島のデモに誘われ、メンバーの中の約10名が一緒にバスに乗って行ったのですが、その中でイルコモンズさんだけが線量計を持っていた。それで彼が、雨に濡れた我々ドラム隊のメンバーのために、サークルのメイリング・リストでこのような報告をしてくれた。

「線量計を使って、今日一日、身につけていた衣服の被曝線量を計測してみたところ、1.44マイクロシーベルトでした。今日の雨の影響を心配している方もいらっしゃると思うので、とりいそぎ、ご報告まで。」

彼は福島県などが同じ26日に線量を測定したのと同じ小学校で、持参した線量計で独自に線量を測定していて、そのことが彼のブログにも記されています(厳密には通学路と校庭の違いはあるが、数値はおおむね合致している)。つまり彼の線量計は正常に機能していたことが分かります(失礼)。
また、福島市の〈防災情報サービス〉のサイトを見ても、市の測定する大気中の放射線量は、例えば〈市役所東棟〉での数値ならばこのところしばらくは毎時1.4μSv台を推移しているし、デモ翌日の27日月曜日の数値はまさに〈1.44μSv〉なので、大気中の放射線物質が、雨によってほぼそのままの濃度で衣類に付着したと考えていいのだろうかと、(素人考えながら、ぼくは)思う。

同じドラム・サークルの仲間、T見さんが「1.44マイクロシーベルト/時ということは、年間約12.6ミリシーベルト」と換算してくれました。ただ、ぼくには残念ながらその数値を云々する知識はありません。

〈衣類もバッグも念入りに除染〉などと自信あり気に書いたので(いや、つまり140字の壁なんですが・・・)、みなさんから「洗濯するとどこまで数値が落ちるのか教えて」とか「どういう除染が効果的ですか?」というお問い合わせがあったのですが、実際は、とにかく長めの時間をかけて丁寧に洗っただけです。バッグ(ナイロン)も洗濯機で洗って、さらにシャワーでよく流す。はいていたブーツの底も、流水シャワーで念入りに流す。
・・・しかしこうした排水によって、下水道処理に従事する人のマターへ、つまり左から右にバトンを渡しているだけなのだろう、と思うと、洗濯しつつも複雑な気持ちですが、よく考えると元凶の原発はこの忌わしいバトンを、数十年間という長きに渡って、ただ後ろに延々と渡し続けるだけなのですね。絶対に自分は受け取らないのです。この理不尽さを思い、洗濯しながら頭がクラクラしてきます。
いずれにせよ、衣類に関して言えば〈水洗いでかなり落ちる〉という定説は誰も否定していないようですから、相当な除染効果があることは想像がつくのですが、前出イルコモンズさんに、念のため洗濯後の同じ衣類の放射線量を測って教えてもらいました。

「コインランドリーの大きめの洗濯機で、脱水までふくめて40分のコースで洗濯し、5回計測して平均値を出した結果、0.09マイクロシーベルトになりました。乾燥しても線量は同じらしいので、これが一回目の洗濯の結果です。」

たぶん2度、3度やればもうすこし線量がさがるかもしれません、とのことですが、1回ちゃんと洗っただけで、単純計算で1/16に減るようです。

以上、みなさんからのご意見、お問い合わせについて、可能な限りフォロウしたつもりです。専門家ではないので、これが精いっぱいのところですが、ご参考になるところは、そうしていただけるとうれしいです。

と、ここまで書いたあとに、福島市の状況を他の人(マスコミではなくむしろ一般ブロガー)はどう書いているのかが気になって少し調べてみたら、ほどなく、《ウインドファーム中村隆市さんのブログ》に、以下のような記述を見つけました。

福島の実態として・・・
「マスクや帽子をかぶって登校している子どもがイジメの対象になり始めているよう(だ)」

「福島市民の多くが、政府公表値は安全だという判断から、マスクを着用していないように思われます。撮影当日の児童公園では、20μsv/hの地表を、子供たちが無邪気に走り回っていました。これで本当にいいのでしょうか?」

さらには、ぼくが日曜に聞いた話と似たような話で・・・

「避難したくても、家族の意見が一致せず」

「家庭の中に亀裂が入る、家族の心がバラバラになっていく」

というようなことも書いてあって、「やっぱりそうなのか」と思ったのでしたが・・・よく見たら、このブログの日付けは〈2011/04/26〉なのでした。
ぼくはそこから2ヶ月もあとの福島市に行って、みんなマスクしてないな、とか、女子高生は雨の中自転車乗ってるし、みんな〈なにごとも起きなかった〉みたいに暮らしてるなあ、なんていう驚きを(今頃?)ツイートしたわけです。

TVのニュースには、原発事故の被害を受けた第1次産業従事者や、意に反して避難を余儀なくされる人々といった(言葉は悪いですが)分かりやすいニューズ・ソースになる人たちだけが映ります。
その一方、国や県の(多分に未必の故意による)方針によって、今この瞬間も何かしらの見えないリスクに晒されている可能性の高い、そして彼ら自身〈なにごともなかった〉ように暮らそうとしている人たちのことは、なかなか絵に、問題になりにくい。

原発事故は国民の中に、そうした目に見えないさまざまな差別、格差、分断を生じさせている気がします。もし福島がギリシャやスペインやフランスやドイツにあったら、今、県知事は朝飯も咽に通らないでしょう・・・が、実際の福島市の人たちは静かでした。穏やかでした。