6.03.2011

「いっそのこと原発なんて全部爆発しちまえばいい」

■今週、ある週刊誌に取り上げられて記事になった(それを昨日電車の中吊り広告で知ったが、誌名は失念)、5月27日付け朝日新聞〈声〉欄へのある投稿の話。
それは福島市の定時制高校教員・中村晋さん(44)の以下の投書で、ぼくもこれを読んで少なからずショックを受け、この記事をなくさないように保管していた。


原発推進派や猜疑心の強い人の中からは、…これ『朝日』だからな。…架空の話の偽名投稿じゃないのか? …これが反原発の活動家の作り話じゃないという証拠がどこにある? てな声も出てくるだろうな、と、新聞を読んだときに思った。この投稿記事を扱った週刊誌も読んでいないので、そこでこの記事をどう捉えているのかも知らない。

そしてちょうど昨夜、ヴァンクーヴァーにある《ピース・フィロソフィー・センター》発信の6月1日付け:
『フランスIRSN(放射線防護・原子力安全研究所)報告が明らかにする福島の汚染・被曝状況と、さらなる避難の示唆』

という日本語のレポートを読み、件の高校生の発言をもっと大きく取り上げる必要があるんじゃないかと思い、微力ながら1週間取っておいた記事をここに載せることにしたわけだ。

同レポートでは「(文部科学省は、公表している汚染を示す地図で)人口密集している福島市、郡山市に帯のように降りかかっているような汚染地域をはっきり示したくなかったのではないかと思われます」と指摘している。

さらに、本来ならば〈緊急避難準備区域の放射線量〉に相当する「30万~60万ベクレルの汚染の帯が(ISRN地図(下図)では濃い青の部分)、伊達、福島、二本松、本宮、郡山、須賀川といった人口密集地帯にまで伸びているにも関わらず、(国は)何も方策を取らず放置している」と述べている。


その他にも、我々が(特に福島の人たちが)自己防衛のために知っておくべきことがいろいろ書いてあるので読んでみて欲しいが、上で引いた二つの指摘を読んだだけでも、それが裏付けとなって、例の『朝日新聞』の高校生の発言は、格段に重い真実味を伴って読み手に突き刺さる。

この《ピース・フィロソフィー・センター》はこれまで、

*チェルノブイリであれば25年後の現在でも居住禁止になっている区域と同じ汚染レヴェルの区域でも、福島にはまだ避難指定になっていない場所があること。

*福島では、チェルノブイリで一時的強制移住の対象になった地域の汚染度と同程度の汚染地域が、広範囲に渡って避難指定になっていないこと。

*土壌汚染のレヴェルを見れば、稲作を制限をしなければならないはずの地域の広い範囲において、米も野菜も作付制限が為されていないこと。

などの事実も分析して報じてきた。

おとといと昨日、この国の中枢は内閣不信任案の賛否の話で明け暮れたが、ぼくはそれは至極自然なことだろうと思う。ああいう“議会制民主主義(あれをそう、呼ぶのだ)”を国民が肯定してきたのだ。しかし今、〈伊達、福島、二本松、本宮、郡山、須賀川といった人口密集地帯〉に住んでいて、これまでこの国の政治/経済/役所のシステムを是としてきた善良な福島県民が、この財界と役人と政治屋の巨大シンジケートの餌食として見殺しになってしまう可能性があるとしたら、それは別問題であり、その理不尽は許しがたい。

残念なことだけれど、この国は国民の命を守ってなどくれない。あいつらが守るのは自分の身分だけだ。そればかりか、この事態は、国によるゆるやかな国民殺し(主たる動機は社会保障費の節約)という殺人事件の可能性があるということだ。直ちに健康に影響はない、という言葉は、そう読み替えるべきだろう、自分を、自分の愛する人を守りたいのならば。