12.27.2011

アジズ・サハマウイ&グナワ大学


■アジズ・サハマウイ&グナワ大学の最新ライヴ映像を見つけた。
パリの《Radio Nova》の夕方の番組での、先週のスタジオ・ライヴの模様。

モロッコ生まれの彼が、フランス移住後に組んだオー・エヌ・ベー(オルケストル・ナシオナル・ドゥ・バルベス)の中心メンバーのひとりとして強烈なマグレブ・フュージョン・サウンドを引っさげてメディアに登場した1995年、ちょうどパリで彼らのフリー・ライヴを観て衝撃を受け、ファンになった。で、ONB自体はその後も何度か観たけれど、デビュー当時の爆発的な躍動感を凌ぐ演奏は聴かれず、今やアンサンブルが洗練され過ぎてしまった感が否めない。

その一方で、アジズ・サハマウイの初ソロ作品となった今年のアルバムは素晴らしかった。ここで見られる映像はアルバムの3曲目に入っていた「Ana Hayou(アナ・ハユー)」で、ベイスが沈んでいるのが少々残念だが、ゴツゴツと角張った生っぽいビート感にそそられる。サハマウイの太い歌と、他メンバーとの掛け合いもいいし、とにかく画的にカッコいい。つーか、夕方6時台にラジオをつけると、こういう生演奏が流れてくるなんていいよね。


アルバムのインフォ:

ここではアルバムのプロモ映像が観られます。
これも今年何十回も聴いたアルバム。出た当時、すぐにピーター・バラカンさんも『バラカン・モーニング』でプッシュしていた。

12.26.2011

Don’t buy what you don’t need. Think twice before you buy anything.

■今夜(25日夜)もジムで運動をし、帰りに行きつけのスーパーマーケットに寄ったら、従業員のおねえさんに、「昨日クリスマスやったの? 今日?」と訊かれ、毎年のことだが、返答に窮した。

オレにはクリスマスを祝う意志も、その根拠も資格もない。みんなが口にする、「メリー・クリスマス」という呪文が何のためのものなのかも分からない。オレにとっては、何も買わず、誰とも会わず、静かに本を読んだり、ウィスキーを舐めながらハワード・ホークスとかフリッツ・ラングの映画をDVDで観て過ごしたい! という激しい欲求をかき立てられる方向に作用するようだ。……何も買わない、といっても、ビールとか、食材くらいはスーパーに買いに行くわけだが。

といいつつ、実はたまたま24日の昼にひとりで渋谷の蒙古タンメン中本で北極ラーメンを食べてから、タワーレコードで楽しみにしていた新譜2枚:Common『The Dreamer / The Believer』と The Roots『Undun』を買い、ついでに買い逃していたBurial の2nd.も買ったけれど、そんなのはごく日常的ないつもの行動だ。

それから同日夜、妻は何故かオレに靴下をくれた。オレの目の前に、ある明確な意思表示として靴下を提示したということか? なんだか、よく分からない。

まあ、それはそれとして。

そんなクリスマスのタイミングで、パタゴニアがひと月前に『ニュー・ヨーク・タイムズ』に出稿したこんな広告のことを知った。


オレはしばらく前からパタゴニアというブランドに一定のリスペクトを払っている。そして、この冬、本当にひとつパタゴニアのジャケットが欲しかったのだけれど、この広告を見て、広告の通りに、まだしばらく買わないことにした。
そして、買うのを止めた分だけ、この会社に対するリスペクトの念が増した。
この世の中に必要なのは、こういう会社であると思う。

さて、世の中は麗しいブラック・クリスマスを送れたのでしょうか?

12.25.2011

『ミュージック・マガジン』2012年01月号

■こんな年でもやってくる、年末のお楽しみ、『ミュージック・マガジン』1月号。

(この他の記事など、内容詳細は http://musicmagazine.jp/mm/ 

例によって今年1年のベスト・アルバム特集号なので、これを見て今年(2010年12月01日~2011年11月30日)リリースされた作品の中で、未聴かつ興味の湧くものを買いに行く、というのが年末の過ごし方だ。

ぼくは毎年のように〈レゲエ(海外と国内それぞれ)ベスト5〉を大石始さんと合議し、それから〈個人のベスト10〉も選んでいる。

もちろんその内容はここには書かないが、ひとつ〈個人ベスト10〉で個人的に興味深い現象があった。そのリストには1位~10位という番号が振られているわけではなく、“今年の10枚”を発表しているみなさん(上記写真参照のこと)は、その10枚をアーティスト名のABC順で並べたり、(大半の人は)順不同として並べたりしてるんだけど、ぼくは毎年ボクシングのマスト・システム採点法のように、敢えて順位をつけて上から並べている――“お祭り”企画を、自分でより徹底的に楽しむための方策として。

で、蓋を開けてみたら、今年のぼく個人のベスト10枚の上位5枚が、他の誰の〈個人ベスト10〉とも見事に1枚もカブっておらず、そして〈各ジャンル別ベスト・アルバム・チャート〉の中にも全く入っていない。つまりこの『ベスト・アルバム 2011』に参加した選者のどなたも選んでいない5枚を自分の1位~5位にしているわけで・・・よほどオレの耳が悪いのか、好みがオリジナルなのか、その両方か、ということだろう。

でも6位~10位までの5枚はすべて他の方々と激しくダブっているし、ワールド・ミュージックやR&Bやハウス・テクノのジャンル別ランキングにも入っているものばかりだった。

ということで、そのぼくの"オリジナルな"個人ベスト1~5位までの中から、1枚だけならここでバラしても叱られないだろうと思い(『マガジン』にジャケ写も載ってないヤツだし)、そこから1曲だけ紹介したい。

もしかすると、今年聴いた回数も1番多い曲かもしれないし、ぼくの頭の中で鳴り響いた回数も一番多い曲だと思う。フランスのプロデューサー&マルチ器楽奏者の Tom Fire がジャマイカのヴェテラン歌手ウィンストン・マカナフの息子をヴォーカリストとしてフィーチャしたヒット・チューン。彼のデビュー・アルバム『The Revenge』に入っている「Brainwash(洗脳)」という曲で、歌い出しはこんな歌詞だ。

Brainwash the whole world
Putting people under pressure
Turning men into business
Women into pleasure

They try to take our voice and even our face
Even try to whipe out our race
The devils in their mind and greed corrupt their heart
Power has them sick like a poison
2000's not enough they want 200 more years
But we no longer give long affairs

Brainwash
it's a serious thing
Pressuring my people
In your world of sins...

今年は、とにかくあいつらのマインド・コントロールのえげつなさに戦慄を覚えた1年だった。フライング・ダッチマンの「ヒューマン・エラー」がオレの今年の1曲だけど、この曲も、ザクザクと心に突き刺さり、あるいは心を鷲づかみにされる曲だった。
話変わって、同じ号の『ミュージック・マガジン』の書評のペイジでは、名著『ジャズ喫茶に花束を』や、『レコードコレクターズ増刊 マイルス・ディヴィス・ディスク・ガイド』などでおなじみの、日本を代表するジャズのオーソリティーのおひとり村井康司さんが、12/20発行の拙訳書『だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?』をレヴューしてくださっています。ありがとうございます!

それから日本を代表するジャズ・ミュージシャンのおひとり菊地成孔さんも、ご自身のブログで同書をお褒めくださいました。ありがとうございます!

それから、出版元《エディシオンうから》のfacebookペイジもできました。
この本に関する情報や、ジャズの小ネタなんかが随時アップされていますので、どうぞご覧ください。

12.15.2011

脱原発デモ@渋谷・原宿 a.k.a. ツイッターデモ vol.07(The 7th Twitter-organized Anti-Nuclear Protest)

■今週土曜、第7回の“ツイッターデモ”に行く。


そもそも見知らぬ者同志だった人たちが、脱原発の思いひとつで twitter でつながり、デモをオーガナイズした・・・つまり一般人が作り、一般人が参加するためのフレンドリーなデモ。

20年近く渋谷・青山・原宿の街はまあまあ見慣れたつもりだったけれど、あるときその車道をゆっくり歩いてみたら、知っていたつもりだった街並みが随分と違って見えて驚いた。昔、毎日通っていた渋谷の街すら、その一面しか見えていなかった。

今、この国で普通に暮らしていて、この国のことがどれだけ見えているんだろう? 
それってTVのチャンネル数が2倍になったら2倍よく見える、という種類のものなんだろうか?


除染は原子力村の新しい収入源になっています 小出裕章(仏 ル・モンド 12/08)
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、日本の原子力分野で最も注目される人物の一人だ。日本政府の原子力政策に異を唱えたために、他の同様の考えを持つ科学者たち同様、ほぼ40年間にわたって科学界の「牢獄」に閉じ込められてきた。小出助教は何の責任も任されず、少しの予算しかあてがわれない「助手」に留められてきた。


・未来の世代は、私たちに聞くと思いますよ。あの時お前は何をしていたと 小出裕章(TOKYO FM 12/14)
要するに原子力発電所というのは危険過ぎて、都会ではその危険を負えないと。だから過疎地に原子力発電所を建てて、電気だけは都会でもらうという、それを続けてきたのですね。


・杉並・小学校の芝生シート セシウム9万ベクレル検出(東京新聞 12/14)
東京都杉並区立堀之内小学校の芝生の養生シートから、一キログラム当たり九万六〇〇ベクレルの放射性セシウムが検出されていたことが十三日、分かった。埋め立て処理を容認する国の目安、一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルの十倍以上。


阿武隈川から海へ1日500億ベクレル 放射性セシウム(朝日新聞 11/25)
福島県中央部を流れる阿武隈川から海に流れ出る放射性セシウムの量が1日あたり約500億ベクレルにのぼることが京都大、筑波大、気象研究所などの合同調査で分かった。福島第一原発事故に伴い、東京電力が4月に海に放出した低濃度汚染水のセシウムの総量に匹敵する。専門家は継続的な監視が必要としている。


西日本でもセシウム検出 文科省、汚染地図作製へ(朝日新聞 11/26)
東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質が日本全土に降り注いだことが、25日に発表された文部科学省の調査で裏づけられた。第一原発から約1700キロも離れた沖縄県を含む45都道府県でセシウムが観測された。半減期が2年と短いセシウム134が全地域で見つかっていることから、文科省は「第一原発事故からの降下物」と判断している。

・放射線測定器「文科省は数値改ざんを要求してきた」(日刊ゲンダイ 12/09)
設置業者が怒りの告発――「文科省が放射線測定器の数値“改ざん”を求めてきた」――。福島の小学校に放射線測定器の設置を進めてきた業者が怒りの告発だ。


・脱原発ビジネス本格支援 城南信金・吉原毅理事長に聞く(東京新聞 12/14)
城南信用金庫(東京都品川区)の吉原毅理事長は本紙のインタビューに応じ、「脱原発にかじを切ることで、新たなビジネスを生み出す」と述べ、取引先の中小企業が開発した節電商品を手始めに「脱原発ビジネス」を積極的に支援していく考えを明らかにした。 




土曜のデモ会場では新しいTシャツも販売されるそうだ。オレも1枚買おう。(このTシャツが欲しいから行ってみる、というだけの動機だって何が悪かろう?)


そういえば、デモに行って恋人ができた人もいて、「今回の原発事故が起きなかったら、私たち知り合わなかったよね」という会話も聞いたことがある。不幸の中からポジティヴなものを紡ぎ出す力は人間の才能である。原発マフィアは、今、何よりそれを恐れているだろう。だから、楽しもう。

12.06.2011

メガバンクから城南信用金庫へ口座を移すアクション

■城南信用金庫が4月に事実上の“脱原発宣言”を行ったことは大きなニュースになったから、当然ぼくも知っていた。



そして先週土曜の東京新聞朝刊の1面の記事(↓)を見て、「あ、オレも来週、城南信金に家の口座を移そう」と決めた。

(クリックで拡大)

これまで家賃とすべての公共料金を引き落とすための口座を、ただ単に地理的な利便性から三菱東京UFJ銀行に置いていた。が、そのメガバンクが、長らく法人税を免除されながら、自分たちがうまいことやるために都合のいい政治屋に献金することは許されており、そのくせ預金者には低金利を強い、貸し剥がしをし続け、三菱東京UFJにいたっては、オレの預けているお金をオレの全く支持できない企業に融資しているほか、シオニスト企業のディズニーと提携して通帳にディズニー・キャラクターを印刷し(もちろん、オレはそんな通帳は拒否したが)、他にも個人的に腹立たしい体験も数回あり・・・ということでそのうち口座を閉じてやろうと思っていたので、一石二鳥だ。

もちろんオレひとりが三菱東京UFJから預金を引き上げたところであっちは痛くも痒くもないわけだが、同じことを大勢がやると、様子はちょっと変わってくるだろう。ヨーロッパでは去年から、メガバンクから大勢で一気に預金を全額引き出して意志を表示する市民アクションが浸透し始めている。あなたが新自由主義経済の仕組みに賛同しない場合、そのことを地元の政治屋に陳情したって何の効果もないどころか、話の意味さえ分かってもらえない可能性が高い。そんな無駄な時間を使うなら、ネオリベラリズムの血液をみんなで少しずつ止めにかかる方がずっと話が早い、というわけだ。

たしかに、公共料金や家賃、新聞代の引き落とし口座をすべて変更する手続きは面倒くさいが、とにかく3日前に報じられた城南信用金庫の英断に賛同する具体的アクションをとるべく、今さっき、口座を開けて来たところ。

ぼくのように、今まで信用金庫の存在意義を意識してこなかった人は、城南信金ホームペイジの「信用金庫とは」を一読することをおすすめしたい。

そこの〈概要〉にはこんな一説がある。

自由主義、個人主義に根ざした市場経済の進展により、損得やビジネスによる取引関係が拡大し、結果として地域社会や企業などの共同体が弱体化して、社会の連帯、モラル、活力が低下していますが、協同組織運動は、こうした近代の自由主義、個人主義を批判し、地域住民・中小企業・経営者や従業員の相互扶助を促進することにより、地域コミュニティーを再構築し、コミュニケーションを通じて、お互いの成長と育成を促進し、健全で良識ある社会の発展に貢献する社会運動であり、経済環境が厳しさを増す中で、信用金庫に対しても、こうした協同組織運動の精神を持った金融機関という本来の役割発揮の期待が高まっています。
また、〈銀行との違い〉には・・・

銀行が株式会社であるため株主の利益を優先するのに対して、信用金庫は地域の人々が利用者であり、会員となって、お互いが地域の繁栄を目指しながら取引を行うという地域機関ですので、利益第一主義ではなく、会員・地域社会の利益がまず優先されます。誰のための金融機関であるかという点が大きな相違点です
と、ある。
城南信用金庫の営業地域は:

東京都全域、神奈川県川崎市、横浜市、相模原市、大和市、厚木市、海老名市、座間市、藤沢市、伊勢原市、綾瀬市、平塚市、秦野市、茅ヶ崎市、鎌倉市、高座郡、愛甲郡
だが、この地域にお住まいの方/お勤めの方は、今の銀行からお金を移してみるのはどうでしょう? みんなでやれば、〈2方向〉に対する継続的なアクションとして、いい感じに機能するかもしれない。それによく考えると、こんな効率的なアクションって、他になかなかないでしょう!?

12.01.2011

NO NUKES MORE HEARTS - NO NUKES ! ALL ST☆R DEMO 2

■今週土曜、結集しよう。
いいデモになると思う。
“いいデモ”とは何なのか? と首をかしげる人もいると思うけど、“いいデモ”というものは確実にある。


NO NUKES MORE HEARTS
NO NUKES ! ALL ST
R DEMO 2
稼動中の全原発の即時停止!
2012
年を全原発廃炉の年に!
★日時:2011123(土) 雨天決行
★時間:集会1 13:00~「代々木公園野外音楽ステージ」
 :デモ 14:00~ 集合場所:代々木公園けやき並木 最寄駅JR 渋谷駅・原宿駅 (徒歩10分)
 :集会2 15:0017:00「代々木公園野外音楽ステージ」
集会会場変更のお知らせ
フライヤーなどで告知していた集会会場が変更になりました。「代々木公園野外音楽ステージ」にて集会1部、集会2部とも開催します。
集会1部:13:00
集会2部:15:00
デモは予定通りに代々木公園けやき並木(渋谷側)出発。デモから参加の場合は14:00までにけやき並木に集合ください。

★主催:NO NUKES MORE HEARTS
★協力:LOFT PROJECT / 楽器・音響.com
★協力参加:TwitNoNukes / エネルギーシフトパレード


(主催者twitterアカウント)https://twitter.com/#!/NONUKES_MH


●その先のデモ。これも、いつも“いいデモ”だ。

12.17脱原発デモ
今年最後、第7弾Twitter発脱原発デモ!!!!!!!

他にも日本中でたくさんの“いいデモ”が作られ、行われていると思う。
で、“いいデモ”とは、オレの定義では、自分たちが、ほんの少しずつであっても“強く”なってきていることが実感できるデモだ。