12.25.2011

『ミュージック・マガジン』2012年01月号

■こんな年でもやってくる、年末のお楽しみ、『ミュージック・マガジン』1月号。

(この他の記事など、内容詳細は http://musicmagazine.jp/mm/ 

例によって今年1年のベスト・アルバム特集号なので、これを見て今年(2010年12月01日~2011年11月30日)リリースされた作品の中で、未聴かつ興味の湧くものを買いに行く、というのが年末の過ごし方だ。

ぼくは毎年のように〈レゲエ(海外と国内それぞれ)ベスト5〉を大石始さんと合議し、それから〈個人のベスト10〉も選んでいる。

もちろんその内容はここには書かないが、ひとつ〈個人ベスト10〉で個人的に興味深い現象があった。そのリストには1位~10位という番号が振られているわけではなく、“今年の10枚”を発表しているみなさん(上記写真参照のこと)は、その10枚をアーティスト名のABC順で並べたり、(大半の人は)順不同として並べたりしてるんだけど、ぼくは毎年ボクシングのマスト・システム採点法のように、敢えて順位をつけて上から並べている――“お祭り”企画を、自分でより徹底的に楽しむための方策として。

で、蓋を開けてみたら、今年のぼく個人のベスト10枚の上位5枚が、他の誰の〈個人ベスト10〉とも見事に1枚もカブっておらず、そして〈各ジャンル別ベスト・アルバム・チャート〉の中にも全く入っていない。つまりこの『ベスト・アルバム 2011』に参加した選者のどなたも選んでいない5枚を自分の1位~5位にしているわけで・・・よほどオレの耳が悪いのか、好みがオリジナルなのか、その両方か、ということだろう。

でも6位~10位までの5枚はすべて他の方々と激しくダブっているし、ワールド・ミュージックやR&Bやハウス・テクノのジャンル別ランキングにも入っているものばかりだった。

ということで、そのぼくの"オリジナルな"個人ベスト1~5位までの中から、1枚だけならここでバラしても叱られないだろうと思い(『マガジン』にジャケ写も載ってないヤツだし)、そこから1曲だけ紹介したい。

もしかすると、今年聴いた回数も1番多い曲かもしれないし、ぼくの頭の中で鳴り響いた回数も一番多い曲だと思う。フランスのプロデューサー&マルチ器楽奏者の Tom Fire がジャマイカのヴェテラン歌手ウィンストン・マカナフの息子をヴォーカリストとしてフィーチャしたヒット・チューン。彼のデビュー・アルバム『The Revenge』に入っている「Brainwash(洗脳)」という曲で、歌い出しはこんな歌詞だ。

Brainwash the whole world
Putting people under pressure
Turning men into business
Women into pleasure

They try to take our voice and even our face
Even try to whipe out our race
The devils in their mind and greed corrupt their heart
Power has them sick like a poison
2000's not enough they want 200 more years
But we no longer give long affairs

Brainwash
it's a serious thing
Pressuring my people
In your world of sins...

今年は、とにかくあいつらのマインド・コントロールのえげつなさに戦慄を覚えた1年だった。フライング・ダッチマンの「ヒューマン・エラー」がオレの今年の1曲だけど、この曲も、ザクザクと心に突き刺さり、あるいは心を鷲づかみにされる曲だった。
話変わって、同じ号の『ミュージック・マガジン』の書評のペイジでは、名著『ジャズ喫茶に花束を』や、『レコードコレクターズ増刊 マイルス・ディヴィス・ディスク・ガイド』などでおなじみの、日本を代表するジャズのオーソリティーのおひとり村井康司さんが、12/20発行の拙訳書『だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?』をレヴューしてくださっています。ありがとうございます!

それから日本を代表するジャズ・ミュージシャンのおひとり菊地成孔さんも、ご自身のブログで同書をお褒めくださいました。ありがとうございます!

それから、出版元《エディシオンうから》のfacebookペイジもできました。
この本に関する情報や、ジャズの小ネタなんかが随時アップされていますので、どうぞご覧ください。