9.21.2009

ギル・スコット=ヘロン新作!

■は、いよいよ、本当に出るらしい! 本人が「出す」と言ってもなかなか出ない人だから話半分以下で聞いていたが、噂は、今度こそ本当だった。15年振り(!)の新作だ! みんな、朗報だ!! と・・・興奮して書いてるが、もう日本のメディアもどっか報じているのかな? とにかくニュー・アルバムのニュースを聞いて、こんなに緊張するのも久しぶり。緊張するよね、GSHの新録だよ、だって。

彼の噂はここ何年もロクに伝わってこなかったし、聞こえてきても、いい話ではなかった。オレが生のGSHの素晴らしい歌声にウルウルきたのは、2001年7月、パリの老舗ジャズ・クラブ《ニュー・モーニング》でだった。その日のステイジでも確かちょっと本人が話していたと記憶するけど、そのときのギル・スコット=ヘロンは、コカイン所持で逮捕されたあと、裁判所の命令で強制的にリハビリ・センターに入れられるはずだったのに、本人がそれを無視したせいで、このあとアメリカに戻ったらそのかどで再逮捕、執行猶予も取り消されて収監確実、かなんか(ちょっとうろ覚えなんで微妙に違ってるかもしれないが)そんな感じのデリケイトな時期だった。



とはいえ、本人はまるでケロッとしてるし、パフォーマンスに衰えもなく、全くもって感動的なショウだった(マジでいいショウで、その後その日の模様がフランスのテレヴィM6でも放送され、DVDも出たくらいだ/写真上)のだが、帰国後、ニュー・ヨークでやっぱり逮捕されて実刑をくらい、出たり入ったり、それだけならまだしも、彼はこれまでの歌の内容や行状からしても全然ポリス、検察に好かれるタイプの人じゃないんで、その後も当局から結構不当な扱いを受けてきた(と、スコット=ヘロンに好意的な立場の欧米のメディアが、その後、そんなことをしばしば伝えていた)。

で、今年7月には久しぶりにヨーロッパでツアーをやるっていうんで、そこにいられないのが残念だなと思っていたら、バルセロナ公演も、その後のコニャックとパリ(8年振りの《ニュー・モーニング》)での公演も直前に中止になった。

フランスの報道によると、結局その後もなんだかんだあって、裁判が今までこじれてきた結果、司法によってGSHの出国許可が直前になって取り下げられてしまったらしい。バンドのメンバーは先にバルセロナにみんな入っていて、スコット=ヘロンも完全に行く気になっていた(公演直前にフランスのメディア『Télérama』のインタヴューも受けていた)んだから、まるでその“嫌がらせ”は寝耳に水だったようだ。GSHの弁護士が裁判所に対して猛烈に抗議をしているという記事もどこかで読んだが、そんな風にまたもやゴタゴタしつつも、とにかく本人は新作を本気で“仕上げ”ている、というのが今の様子らしい。



そのタイトルは『I'm New Here』。出口は XL Recordings。上述『Télérama』のインタヴューでは「オレ自身はそんなに新しくないけどね、アルバムは新しい」とジョークを飛ばしながら、発売は9月か10月と語っていたのだが、あっという間に(またもや)その発売予告もジョークになってしまい、現時点では《来年の早い時期》になってしまっている。が、そう記したティーザー・サイトがインターネット上にアップされているのだから、出るのは確実で、ひと安心。そいつを5回位繰り返して観ながら(新曲の断片が4曲くらい聴ける)ウィスキーで祝杯を上げたところだ。《黒いボブ・ディラン》の異名も取った男だが、タイトル曲は本当にディラン・チックな弾き語りのトーキング・ブルーズだったりする。声も出てるし、いい声だ。http://imnewhere.net/

とりあえず、続報をつかんだらまた書きます。うれしくて、《GSH通信》も始めてしまいそうだ。

(もしかしてまだの人がいたら、この機会にこのブログ右上から遅れずに《Johannesburg》便にもご搭乗ください)