■“通信”最新号は、マニュ・チャオを知らない、あるいはよく知らない人にこそ伝えたい情報。
まず新作ライヴ・アルバム『Baionarena』、フランスでは出ましたが、日本では少なくともとあるオンライン・ショップには1度入荷し、初回入荷分は予約分ですべて売り切れた模様。そこでぼくの予約した分はきちんと確保されてるのだが、配送料無料の“一括発送”で一緒にオーダーした商品の中のたった1点が未入荷なせいで、入荷後1週間も経ちながら、少々間抜けなことにまだ『Baionarena』を聴けずにいる。まあ、楽しみは逃げないから、急ぐことはない。
その新作に気を取られていた裏で――これが今日の本題――実はチャオの2004年の企画盤『Sibérie m'était contéee』が、彼のオフィシャル・サイトからアルバム1枚、まるまる無料でダウンロードできるようになっている!
この『シベリー・メテ・コンテ』は、絵本(写真上:チャオのポエムとヴォズニアックのイラストによる)と、全曲フランス語詞による録りおろしシャンソン23曲が入ったCD(その上の写真)がセットになったもの。それが“完全版”と、絵本を抜粋した“キオスク版”との2ヴァージョンでリリースされたが、どちらも限定版で、本国ではとうに売り切れ絶版。CDだけのバラ売りはしなかったので、当然CDも入手不可能になっていたが、リリースから5年経った今、この反グローバリゼイション闘士、貧者の味方マニュ・チャオは、音の方だけ全部タダにして、その楽しい歌たちを哀しい経済システムのくびきから解放したのだ。
04年のオリジナル・エディションでは23曲収録だったものが今回20曲になっているのと、数曲がリミックス、あるいはリエディットされている(曲によっては2009エディションの方がタイムが延びている)ものの、全体の聴後感に大きな違いはない。全体としては約10分ほど短くなったが、それでも全58分超。ファイルはMP3。
マニュ・チャオを聴いたことのない人は、この好機にDLして聴いてみたらいかがでしょう? この作品は他のラジオ・ベンバ・サウンド・システムによる作品(通常の路線)とは作風が少々違うので、こっちが特別なのですが(ラテン度もレゲエ度もロック度も低く、バンド・サウンドというよりは遥かに宅録風)、それでも、いや、だからこそ彼の詩人、ミュージシャンとしてのセンスがストレートに分かります。
『Sibérie m'était contéee』の参考文献:
★RADIOCHANGO JP の nahoko さんによる、キオスク版の絵本のオフィシャル対訳の素晴らしい労作がここで読めます。基本的に、絵本の中身は楽曲の歌詞をモティーフにしているので、絵本を見たことのない人も、このアルバムの歌詞の意味が知りたかった人も必見。
★Wikipedia の英文サイト(詳しい)。
★『ミュージック・マガジン』誌(2005年04月号)の輸入盤レヴュー欄にぼくが原稿を書いていますが、その中の一段落。
《音はラ・マノ・ネグラ以来のミクスチャー感覚とジョルジュ・ブラッサンスの風合いが合体した、いつにも増して飾らない雰囲気。今作は、彼の好む場末の(=日本のメディアが忌避する)パリをテーマにしているからだが、稀代のヴァガボンらしく、そのリズムや音色にときおり南米やアフリカのザラついた砂埃感が混じる。素晴らしきマニュの世界。》
で、肝心のダウンロードはここの、
このグラフィックをクリック。・・・欲しい人は、同ページから”歌詞カード”も1枚ずつ、手動で落とせます。Merci Manu Gracias !