■ナオミ・クライン による『ウォール街を占拠せよ:今世界で最も重要なこと』と題されたスピーチを〈BeneVerba〉さんが訳されている。
「ノー、私たちはお前たちの危機に金を払うつもりはない」
「我々はお互いを見つけたのだ」
「私はあなたを気にかけている」
「ようこそ」
おりしも彼女の最新刊『ショック・ドクトリン』(上・下)を読んでいる最中だが、クラインのこのスピーチに含まれる上記のようなパンチラインは、恐ろしき欺瞞に満ちた〈ショック・ドクトリン〉・システムに対する、まさに抵抗と団結のスローガンたるものだ。世界最大のマネー・ゲーム・センター=NY証券取引所のそばの路上で起こっていることは、その抵抗と団結の象徴に過ぎない。
クラインが〈ショック・ドクトリン〉と呼ぶのは、その原因が自然災害か人災かにかかわらず、起きた大惨事を絶好の材料として、そのたびごとに急進的な市場原理主義改革を断行していくという、その、言わば“1%連中”のやり口のことである。
人々が災厄に見舞われて泣き叫び、うろたえるとき、彼らは無防備であり、抵抗力もなく、ただただ、災いの起こる前の暮らしに一刻も早く戻りたい、ということのみを祈りつつ震えている。その子羊のような赤ずきんちゃんに対して、仕立てのいい背広を着た狼が正体を隠してその手を差し伸べるとき、それは助けるためではなく、食べてしまうためだ。
我々の危機は、“狼連中のための危機”になっている。
TVでウォール街の様子を見て、感心したり呆れたりしている場合ではない。これは福島の、日本の話である。
追記:その、『ウォール街を占拠せよ:今世界で最も重要なこと』スピーチを〈人間マイクロフォン〉によって行うナオミ・クラインの画像はこちら。かっこいいぜ。