4.28.2010

おっぱい地震

■イランのテヘランで先週、イスラムの宗教指導者カゼム・セディーギ師(ayatollah Kazem Sedighi)がこんな発言をした:「大地震などの自然災害は、女性が乱れた服装や化粧をすることの過ちによるものである」

師曰く・・・自然災害は、人間の行いの結果として起こるものだ。多くの女性が不適切にファッショナブルで扇情的な服装や過度の化粧をしていることが若者を堕落させ、世の中に婚外/不倫の性行為を引き起こし、それが地震を増大させるのだ(注:この論理の飛躍は、オレが師の話を端折ったものではないよ)。


先週金曜の礼拝で師は、イランの“イスラミック・ドレス・コード”が遵守されていない事態を憂い、それに対する指導としてそのように語ったらしい。英『テレグラフ』紙(↑写真・リンク)によると、テヘランなどの都市部では、女性たちは身体の線にフィットした服を着ているし、髪を覆うスカーフも薄く、幾重にも重ねた巧みなメイク=アップをしている。確かにこの写真の女の子たちは相当カッコいい。こういう女の子たちの服装ですらイカンと。地震が起きるぞ、と言うわけだ。

で、このイスラム宗教指導者の発言に対し、アメリカ人の学生で自称“自由主義で悪趣味でダサいけど科学的で性倒錯的で無神論者でフェミニスト”のジェニファー・マックレイト(Jennifer McCreight)さんが《ブーブクエイク(Boobquake=おっぱい地震)》なるサイバー運動をオーガナイズした。

26日に、世界で同時にみんながデコルテを強調するなどの露出度の高い服装をして、それで地震が起きるか様子を見てみようよ、というもので、Facebook や Twitter で全世界の女性に呼びかけたところ、5万5千人以上が賛同。彼女たちはアメリカ2箇所での当日の集会で、あるいはそれぞれの街で運動に参加した。

そしたらその26日に台湾で大きめの地震が起きたそうだ(笑)が、そこは頻繁に地震が起きるところらしい。

大地震で不幸な目に遭った人は、それが、街で女性が肩や胸の谷間や太ももを出して歩いてるせいだと言われたって複雑な気持ちになるだけだろうし、それを思うと単純にイスラム指導者を皮肉りたかった《おっぱい地震》運動についても、スカッとは笑えないし・・・その意味では妙に困ったニュースだ。

が、少なくともこの《おっぱい地震》、〈自然〉と〈人間の自由〉と〈宗教〉という、地球上の3大問題が全部一緒になってるという点では、深遠なるテーマを数々はらんだ、なかなかレアなニュースではある。これで一躍有名になったジェニファー・マックレイトの話は、ここで聞けます。