3.19.2011

これらのポスターを描かされた子供たちは、今どんな気持ちでいるのだろう?



第17回原子力ポスターコンクールの受賞作品を紹介しているこのウェブ・サイト
を見て欲しい。

一番上に《文部科学大臣賞》《経済産業大臣賞》を受賞した作品がある。描いたのは12歳と16歳の(名前からすると)女の子たちだ。他にも6歳から17歳までの子供、生徒たちによる優秀賞、入選作が見られる。

原発を推進する役所は、こんな原発称揚のポスター・コンクールを行い、純真な子供たちに学校を通じて"原発の素晴らしさ"をこんこんと吹き込み、その美点を最も麗しく描けた子供を褒め称える。子供たちを遠隔洗脳するために、ともだち間でポスターの出来を競わせるという嫌らしい方法を取っているのだ。描かせた教諭、教師たちと、子供の親御さんたちは今、何を思っているだろう。

それよりも、ポスターを描いた子供たち、特に今もこのサイトに自分のポスターが名前付きで掲示されている子供たちが、どんな気持ちでいるかを想像するに胸が痛む。

全国各地で大気中の放射線量を測定している「モニタリングポスト」の数値を発表しているのが文部科学省であることは昨今の報道でみんなが知っている。こんなコンクールを主催している役所が、自分で大気中の放射線量を測定して国民に発表してるんだから、その数字が、どういう意味を持ってはいけないか、容易に想像がつく。

そんなときに、子供たちの飲む牛乳から基準値を超えた放射線量が検出され、でも、その牛乳を1年間、普通に飲んでもCTスキャン1回分だよ、とかいう怪しげな言い訳をテレヴィでしているおじさんを、今、子供たちは冷ややかな目で見つめていることだろう。で、茶の間でお母さんにこうツッこんでいるだろう

「でもママさあ、牛乳に入ってる放射線量が合計でCTスキャン1回分で、1年間で食べたほうれん草の合計でCTスキャン0.2回分で、このあと、いろんな野菜から“CTスキャン0.2回分”とか“CTスキャン0.5回分”とかの放射線量が見つかったら、合計ですごいことになっちゃうじゃん」

・・・おじさんたちは、それでも、ただちに健康被害が出るものではないから、全然だいじょうぶだって言うんだよ。放射性物質が混じった空気を吸っても、まだ薄いから大丈夫なんだよって。で、これからしばらくの時間をかけて体に入ってきた物質の全部が合算されたときにどうなるかなんて、絶対に言わないんだよ。
(実際、きみが1年間で食べるほうれん草が全部“汚染”されたほうれん草、ってことはないだろうけど、その一方で、そもそも、きみが1年間にほうれん草をどのくらい食べてるか、あのおじさんが知ってるはずないよね?)

とにかく、あとできみの体調がおかしくなって国に対して怒っても(難しい言葉だけど)“因果関係”っていう言葉を上手に使って逃げることになってるんだよ。

で、みんなにポスターを描かせたお役所の発表する空気中の放射線量の数字、みんなは信用するかい?